Target7:四天宝寺中男子テニス部
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「財前、何してんの?」
自分に与えられた場所を探索したが特にめぼしいモンは見つからず、仕方なく他に行こうとふらついとったら声をかけられた。空のペットボトルを片手に草木を掻き分けてきたその人は、ぽかんと口を開けたまま俺の名前を口にする。
「……名前、なんでしたっけ。」
「あぁ、うん。汐原琹ね。覚えて。……探索終わったの?」
汐原さんは俺の横を通り過ぎて、直ぐ側の湧き水をペットボトルに汲んでいく。どうやら水を汲みに来たようや。
「何も無かったっすわ。」
「そっか。……あぁ、そうだ。財前って鉈とか研げる?」
「やってみんと分かりませんけど、出来るんとちゃいます?」
それ程難しい様には思えへんし、自分はそんな不器用でもない。ですよね、と返した汐原さんは水で一杯になったペットボトルのキャップを閉めた。
それにしても、白石部長は何でこんなんを口説いたんやろうか。見た目に特筆する所は無いし、性格で惚れるんにも無理がある。
初めて言葉を交えた時には、ただアホな人やと思った。ころころと表情を変え、白石部長の言葉に自惚れを隠しきれて無い表情。まるで、謙也さんみたいな人や、と。
女なのに遠慮をせえへん笑顔が忘れられん。汐原さんは少し濡れてしもうた指先で自身の前髪を払い、笑った。
「時間あるなら手伝ってよ。」
それは謙也さんの事をおもろいと言った時とも、白石部長に口説かれとった時とも違う。多分、小さな子供を見守る時のような暖かい笑み。何やムカつく。
「ええですけど、その
「え、待ってどんな顔してるの。」
「えらいぶっさいくな顔してはりますよ。」
嘘、とペットボトルを持ったまま両頬に手を当てて解す姿はアホにしか見えへん。ほんま謙也さんみたいやな、と考えて止めた。
汐原さんは頬から手を離し、顎に手を当てて首を傾げる。無自覚やったんやろうか。俺の事を子供扱いしたんは。
えらいムカついて汐原さんの頬に指先を滑らせて、抓った。痛い、止めて、と舌ったらずに訴えるんはやっぱりアホにしか見えへん。そんでも、さっき白石部長に口説かれとった時よりも、俺に腹立つ笑顔を向けとった時よりも、何十倍もマシな
「で、何処で手伝ったらええんです?」
「……こっち。」
頬から手を離して案内を促すと何や言いたげな顔をして、そのまま大人しく前を歩き出す背中を追う。ちっこい背中に何や、少しだけ口元が緩んだ。