Target7:四天宝寺中男子テニス部
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跡部の口から告げられた部屋割りは、半ば予想が出来ていたものだった。あたしが知っている通りの分け方に加えて、財前、一氏、滝、古庄寺くんの四人一室が加わっただけ。部屋に荷物を置きに行く為に一度解散の号令がかかる。あたしは滝の背中に声を掛けた。
「滝、気を付けてね。」
何を、という訳ではない。強いて言うなら、古庄寺くんと着替えが被らないように、という程度だ。これも一種の独占欲なんだろうな。あたしの着替えを見られるのは良いが、古庄寺くんの身体は見て欲しくないのだから。まぁ、あたし自身は自慢出来る程のスタイルをしている訳ではないから余程の事がない限り彼等と着替えを共にしようとは思わないが。
「琹ちゃんも。」
滝のその言葉が里との関係にかからない事を祈って別れる。管理小屋に荷物を置くと直ぐに食堂に戻った。
「じゃあこれから何をするか、決めていくぞ。」
「この近辺を調査した方がいいね。何があるか調べておかないと。」
「んふっ、賛成です。今は何より情報が欲しいですからね。」
跡部の言葉に幸村、観月と続く。勿論、他からも文句は出ない。
「わかった。まずは合宿所内の調査を始めるか。使えるものがないか探せ。」
「俺はどうしたらいいですか?」
「お前と琹は誰かを手伝ってやれ。」
「うん、分かった。」
古庄寺くんの言葉に返答するだけでなく、さり気なくあたしにも指示を飛ばした跡部は樺地に向き直る。それから
一先ずは跡部の解散の号令に倣って、ちょたの背中に声をかけた。
「ちょた。」
「え?ああ、琹さん。何か用ですか?」
「調べるの手伝うよ。」
ありがとうございます、と笑うちょたは心底嬉しそうだ。以前の共に過ごした放課後を思い出す。あの時もちょたはとても嬉しそうな顔をしていた。あたしが側に居る時はいつもそうだ、なんてのは自惚れ過ぎだろうか。
少しだけ歩くと、少し拓けた場所に積み上げられた木々が目に入った。
「あ、あれって薪かな。」
「そうですね。あそこで薪を割るんだろうな。」
二人して駆け寄ると、薪の他にも錆びてはいるが斧や鉈、それから砥石が見つかる。如何にもな準備物に、これが榊先生の合宿所だという前情報が無ければ不自然すぎるだろうと乾いた声が漏れた。あぁでも、だからこそこの合宿所が舞台なのだろうな。
「ちょっと砥いでおきましょうか?」
「うん。多分、すぐ使う様になるし。あたしは水汲んでくるね。」
「あ、それは俺がやりますよ。琹さんは鉈と斧を集めておいて下さい。」
ちょたの言葉に頷きそうになるが、少し考えて首を振った。
「多分砥ぐのはちょたに任せっきりになるし、これくらいさせて。水汲むくらいならあたしにも出来るから。」
教えて貰いながらなら出来ない事も無いのだろうが、時間的効率を考えるとちょたに一任した方が早いだろう。それなら水汲みくらいはしないと手伝いの意味が無い。あたしは水を汲むべく一度その場を離れた。