Target7:四天宝寺中男子テニス部
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古庄寺くんの言葉に、余計な事を、と漏れそうになる舌打ちを噛み殺した。
「海と山、両方を担当するなら俺の方が良いと思います。」
「……理由は?」
「男手は充分足りていますが、参加している女子は水羽さんと汐原さんの二人だけです。料理は女子の担当だ、なんて事を言うつもりはありませんが、細かい配慮は女子の方が得意なのは事実です。充分足りている男手を分配するより、女手を分けた方が良いと思います。」
跡部が視線で手塚に意見を求める。どちらが自分達の計画にプラスになるかの判断か、それともその逆か。あたしの主張も古庄寺くんの主張も、恐らくそれ程主観的ではなく、素っ頓狂な主張でもない。彼等がどちらに乗っても可笑しくは無かった。
「……三人しか居ないマネージャーに無理にリーダーを立てる必要はない。それならば古庄寺の案の方が合理的だ。」
手塚の言葉を聞いて跡部の目を見つめる。お願い、気づいて。先程、後で話があると言ったのだから、あたしが何かを知っていると跡部は気づいている。それがキミ達にプラスになる事だと気付いてくれたなら。あたしの案を汲んでくれる。手塚は意見を述べたが、最終的な判断は跡部に任せている。彼さえ、あたしの目論見に気が付いてくれたなら。
「水羽が山側、琹が海側。古庄寺が隔日で海と山だ。……これ以上の反論は認めねぇ。」
「……分かった。」
跡部の決定には逆らえない。あたしは大人しく彼の決定に従うしかなかった。仕方ない、あたしのプレゼンよりも古庄寺くんの方が優れていたのだから。
(あぁ、どうしよう。)
山側へ移動する里を見送って、一人溜息を漏らす。少なくとも一週間、跡部達の目的がバレないようにフォローしなければ。里が山側に居るのだから、山側に無意味に行っても不自然では無い。あたしの中で、の話なら。あたしと里が姉妹である事を知らない彼等からすれば、それは少し不審だろうし、何より里に危害を加えられている、もしくは加えていると取られてしまっても文句は言えない。あたし達は一度彼等の目の前で問題を起こしているのだから。
元井とゴタゴタがあったばかりだから、跡部達が必要以上に警戒している可能性だってある。あぁ、もしかしたら跡部はそれも考慮してあたしと里を分けたのかもしれない。
「汐原さん、今日は海側みたいなので宜しくお願いしますね。」
彼女は何も悪くないのだけど、今はその爽やかな笑みを浮かべる顔に右手を振り下ろしたかった。