Target7:四天宝寺中男子テニス部
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メシだメシだ、と騒ぎ出す面々ば追いかけて、ゆっくりと食堂へ足ば向ける。金ちゃんの世話は白石に任せて、久しぶりに会うた桔平にでも声ば掛けようかと視線ば彷徨わせて見つけたんは、ごめん、と頭ば下げる汐原さんと、そん汐原さんば優しく見つめる立海の幸村ん姿やった。
それ程距離は無かけん、ぼそぼそと途切れてはいるが二人ん会話は充分に聞こえる。幸村自身が情けないと評した表情は、第三者から見ればそぎゃん事はなか。ただ、慈しみば含んだ恋する男子中学生だ。
汐原さんは頭ば下げたまま僅かに戸惑いば見せる。先程白石ん言葉に見せた動揺よりは遥かに小さかそん反応は、恐らく彼女は知っとるんやろう。幸村が自分ん事ば好いとる、と。知っとるけんこそ、幸村ん手ば優しゅう下ろし彼ん言葉に逆らう。
(優しか子ばい。)
許容する事で幸村ば傷つけんように。いたらん期待ばさせんように。そうして自分ん方が傷ついていく。
「千歳!早よ行かな、金ちゃんに全部食われてまうで!」
「そりゃ急がんとね。」
先に行ったとばっかり思うとった謙也に声ばかけられて、幸村達から視線ば外す。あぁ、そういえば汐原さんは謙也ん従兄弟ん彼女やと勘違いされとったんやっけ。それならば、そん謙也ん従兄弟とも仲は良か筈。青みがかったもっさりと広がる胡散臭か長髪に、だっさい丸か伊達眼鏡。低か声が余計に胡散臭さば強調して、なんであんなんがモテるんか分からへんわ、言うとった、謙也ん評価ば思い出した。
真偽はどうあれ、謙也ん従兄弟に立海ん幸村。それに白石。こん短時間で少なくとも三人から寄せられとる好意が見て取れる汐原さんに興味が湧かん筈がなか。
白石ん口説き文句に頬ば赤らめながらも、そん行為ば軽率やと窘める程度には卑屈で、やけんて言うて絶対に自分が好かれんて思うとる訳でもなか。良うも悪うも普通ん子。それなりに人に好かれ、それなりに人に嫌われて過ごして来たんやろう。白石が汐原さんの事を好いとるちゅうんなら、是非とも応援したいところではある。ばってん。
(ライバルは多そうばい。)
汐原さんがビジュアルだけで人ば見るような子やったら白石ん勝ち目は多いにあるばってん、白石がそぎゃん子ば選ぶようには思えんかった。