Target7:四天宝寺中男子テニス部
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最初の広場に戻ると、捜索を終えたのか既に数人が集まっていた。普段なら直ぐにでも跡部に駆け寄り四天宝寺の彼等の事を報告するのだが、今はどうにも白石や跡部といった美形に近寄る気にはなれず、報告をリョーマに一任してあたしはがっくんに駆け寄った。
「がっくん、あたしって別に可愛くないよね。」
「は?」
別に不細工だと言われたい訳ではない。寧ろ可愛いと言われたのだから喜ぶのが当たり前だというのも分かっている。けれど、白石の言葉のどれか一つでいいから冗談だったのだと思いたかった。
「……別に見た目で選んだ訳じゃねぇけど、琹は普通に可愛いんじゃね……って、こんな事一々言わせんなよな!」
「うん、ありがとう。」
がっくんの言葉に一応お礼を口にするものの、心内では頭を抱えていた。がっくんの言葉には完全に好きな子補正がかかっている。"普通"に可愛いと言ってくれる辺りあたしの容姿が特別整っている訳じゃないのはきちんと分かっているのだろうが、今はただ、あたしの言葉にそうだな、と同意して欲しかった。パニックに染まる思考を深呼吸で追い出すと、ブンちゃんの声が耳に届く。
「それよりよぉ……先になんか食わねぇか?」
「そうだな……船から持ち出した食料しかないが、それで済ませよう。」
ブンちゃんの提案に自身の空腹を実感する。腹の虫が鳴く程ではないが、確かにお腹は空いていた。他の選手達もそうなのだろう。まぁ、自己主張がしっかり出来る、所謂"声の大きい"人達が声を上げたからなのもあるかもしれないが、反対意見は出なかった。
「食事が終わったらミーティングだ。今後の事について決める。」
跡部が許可を出した事で皆が一様に食堂へ移動を始める。あたしも肩にかけた自分の荷物を持ち直し、がっくんと共に付いて行く。少し先に立海の面々が見えて、その背中に追いつくべきか否か少しだけ考えて、結局足の速度を上げた。
「……幸村。」
「あぁ、汐原さん。久しぶりだね。」
背中に向けてかけた声に幸村は一度足を止めて振り返る。それからあたしが隣に追いついたのを確認すると、歩みを再開した。
彼は何も言わない。あたしの言葉を待っている。だけど歩幅は合わせてくれていて、怒っているようには思えなかった。
「ごめんね、結局あれ以来会いにいけなくて。」
言い訳も浮かんで来なかった訳じゃない。ただの口約束だったし幸村から会いに来て欲しいと言われた訳でも無かったけれど、あぁ違うな。あたしから会いに来てもいいかと問うたくせに、会いに行こうとしなかったから。胸に巣食った罪悪感が気持ち悪くて。あたしは進めていた足を止めて、幸村に頭を下げた。