Target7:四天宝寺中男子テニス部
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謙也の肩を叩き、笑い声を上げる。特段変わった事をした覚えはないが視線を感じて顔を向けると、妙に優しい笑みを湛えた白石と目が合った。
整った顔立ち。色素の薄い髪が夏の強い日差しに照らされてキラキラと反射する。月並みな表現しか出来ないが、周りの木々も鳥達の囀りも、太陽の光さえも彼を引き立てる為に存在しているようだ。
常日頃跡部と行動を共にしている為、美丈夫にはある程度耐性が出来ていたと思っていたがそうでもなかったらしい。とろりと太陽光の溶け込んだ優しい色の瞳を細め、その薄いのに柔らかそうな唇をきゅっと結んで口角を上げる。確かに視線が合っているのに何も言わない白石に首を傾げると、白石はその表情のまま軽く首を傾けた。綺麗に外に跳ねさせた髪が揺れる。同じく自分の心臓も大きく跳ねた。一気に頬が熱くなる。一枚の絵画のようですらあった白石を見ていられなくなって視線を彷徨わせるが、白石からの視線は外れない。あぁ、何て質の悪い。
「白石さ、それ自覚してやってるなら止めた方が良いと思う。普通に勘違いするから。」
優しい瞳で笑みを湛えて、受け取りようによっては自分に気があると取れてしまう表情。しかも彼は先程、あたしの事を可愛いと評したのだ。
彼のような美形に一目惚れされるような要素を持っている筈もないから、ばたばたと暴れる心臓は完全に勘違いなのだけど、それを彼が意識してしているのだとしたら質が悪過ぎる。だからこそ、これ以上勘違いさせるなと釘を刺したつもりだったのだが。
「……勘違いしてもええんやで?」
あどけない表情でパチパチと瞬きを繰り返す彼の言葉に一瞬悲鳴を上げそうになった。
周囲の声が止む。白石のその言葉は、まるであたしを口説いているようで。そんな訳はない、と自分の心臓に言い聞かせるが早鐘のような心臓では意味を成さない。これ以上赤くなる事は無いと思っていた頬の温度が更に上がった。
白石が女の子を口説いたからか、四天宝寺の面々が驚きの表情であたしと白石に交互に視線を動かす。なんでこんな冴えない女なんて、とそんな言葉が聞こえて来そうだ。
あたしは耐え切れなくなって、両手で自身の顔を覆い隠し、隣に居たリョーマの背中に隠れる。成長途中のリョーマの身長では、隠れるには少々無理があったが、彼等の視線から逃れる事には成功したらしい。白石がどんな表情をしていたか、なんてあたしには分からない。
「……取り敢えず跡部クンらと合流しよか。越前クン、案内頼んでもええか?」
「ウィッス。」
白石に促されて来た道へと方向転換するリョーマの背中を追いかける。白石を視界に入れないようにしてじっとリョーマの背中だけを見ていると、それが不愉快だったのかリョーマは一瞬だけ此方を振り返り、呆れたように溜息を吐いた。