Target7:四天宝寺中男子テニス部
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「コシマエって誰のこと?」
「あーっ!金ちゃん、コイツや。コイツがコシマエやでー!」
さっきまで眠いと騒いどったゴンタクレが、今度はコシマエやー!と元気な声を上げる。いつもの事やけど、今日はハードな移動も相俟って、妙に両肩が重かった。
「……忍足?」
不意に越前クンの少し後ろで様子を伺っとった女の子が声を上げる。謙也を聞き慣れん名前で呼んだその子は、驚愕といった感じで目を瞬かせた。
「ねぇ……なに、この騒がしい人たち。知り合い?」
「一応全員初めましてだけど……知り合いと言えば、知り合い?」
その子は何それ、と肩を竦める仕種をする越前クンに一瞬だけ視線を向けて、直ぐに謙也に視線を戻した。それから一旦口を噤んで、意を決したように開く。何やら謙也と知り合いらしいが、当の謙也は必死で彼女が誰なんかを考えとるらしく返事はない。明らかにそれが原因で彼女が困っとるんに耐えられんくなって思わず口を挟んだ。
「何や、こんな可愛ええ子を忘れてしもたん?謙也は薄情やなぁ。えーと……。」
「え、あぁ、ごめん。名乗ってなかったね。汐原琹。氷帝のマネージャーしてる。」
「ああ!!侑士の彼女やん!」
おべっかを交えて自己紹介の催促をすると、漸く謙也も思い出したらしい。氷帝の忍足クンの彼女らしい汐原さんは少し眉根を寄せて、乾いた笑いを漏らした。あぁ、また困らしてしもうてからに。
汐原さんのその態度からして謙也の勘違いなんやろうなぁ。こればっかりは本人に訂正して貰わんと、俺にはどうしようもないと口を噤んだ。ほぅ、と溜息が漏れる。ホンマ、
「何か面白い勘違いしてるけど、あたし侑士の彼女じゃないよ。」
「あぁ、そういえば侑士もそう言っとったわ。」
「何で当人に否定されとんのに勘違いしてはったんですか。アホとちゃいます?」
ぽんっと拳を掌に打ち付けた謙也に財前が辛辣な返しをする。俺等からしたらいつもの光景なんやけど、慣れてへん汐原さんと越前クンはこのノリについてこれへんちゃうかな、と視線をやると案の定越前クンは呆れたように溜息を吐いた。せやけど、汐原さんは意外にも笑い声を上げて、やっぱりキミは面白いよ、と謙也の肩を叩く。あはは、と上げる声は豪快で、聞いとって気持ちがええ。
別に下品な笑い声と言う訳でもない。例えるなら、子供が純粋に楽しい、おもろい、と人目を気にせず上げる笑い声のような。
何となしに汐原さんのその顔を見とると目が合った。既に笑みを浮かべとった口元をきゅっと引き締め、豪快な笑みから優しい微笑みに変える。少しだけ傾げられた首に、此方も釣られて首を傾げると汐原さんの頬が赤く染まった。それから視線を逸らされ、うろうろと少し彷徨わせてからほぅ、と困ったように息を吐き出す。
「白石さ、それ自覚してやってるなら止めた方が良いと思う。普通に勘違いするから。」
「……勘違いしてもええんやで?」
正直汐原さんの言う"それ"が分からんから返した適当な言葉なんやけど、絶対女の子に返したらあかん言葉やったと思う。最初に使こうたおべっかも相俟って、本気で俺が汐原さんの気を引く為に駆け引きしとるみたいや。それを否定しようにも、ここではっきり言うんは汐原さんのプライドを傷つける事になる。謙也や金ちゃんに散々