Target7:四天宝寺中男子テニス部
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ジローちゃんの手を引いて浜辺に戻る。跡部にジローちゃん含めた全員に怪我は無いと告げるとそうか、とだけが返ってきた。跡部の態度は素っ気ないが、呆れたように吐き出した溜息が安堵からくるものだったとしたら、主催者としての責任か、単に部員達の心配か。彼はとても優しい。
「跡部さん。青学も全員無事です。」
「立海も問題ありません。」
里に続いて報告された立海の確認が最後だったのだろう。選手達に欠員は居ない。しかしながら先生方は、と各所から心配の声が上がる。跡部と手塚を中心に各校の部長達が今後の事を話し合い始めたから、あたしは大人しく身を引いてマネージャー二人に向き直った。
正直これに関しては少し迷った。里はまぁいい。以前の合同合宿の際に多少は関係も良好になっているのだから、気にする事でもない。問題はもう一人の方だ。
「初めまして。氷帝三年の汐原琹、宜しく。」
「青学二年の水羽里よ。宜しく。」
姉妹揃って戸惑いながら自己紹介をするのは、目の前の"彼女"への対応に困っているからだった。
「俺は立海二年の古庄寺静希です。宜しくお願いします。」
にこりと笑うその表情は人好きのするもので、爽やかさすら感じる。俺、と言った"彼女"の顔の作りは確かに中性的で男と言われれば納得してしまいそうになるけれど、頭の何処かに引っかかるような違和感がある。それは高めの声だったり、隆起していない喉元だったりが原因だろう。僅かな違和感だが、それは全て女の子だという事実を肯定するものだ。
身に纏っているのは立海のユニフォームにハーフパンツ。胸元は勿論膨らみがある訳もない。
どうするべきなのか迷って里に視線をやる。彼女はあたしに対して、琹が聞きなさいよ、とでも言いた気に顎で彼女を指した。
「え、と気を悪くしたらごめんね。古庄寺くん、で良いんだよね……?」
「はい。偶に女子に間違われるんですけど、一応男です。」
そう言いながら古庄寺くんはじとりと目を細めた。あたしの聞き方が悪かったのか、気を悪くしたのかもしれない。もう一度ごめんね、と謝ると、慣れてますから、と立海のメンバーの中に溶け込んでいった。あぁ、後であたしも挨拶がてら謝罪に伺わなければ。立海には散々迷惑をかけた。その一人に古庄寺くんも加わってしまった。それに出来るなら昌山がどうなったかも聞きたい。
「琹、あの子、女の子よね。」
「あたしもそう思うよ。」
「……どうして彼等は気付かないのかな。」
里の指す彼等を確認する為に里の視線を辿る。そこには古庄寺くんの肩を抱く仁王や赤也の姿。それだけで彼女を男だと思っていると判断するには早いと思うが、確かに彼等の態度は異性だと認識していないような気もする。
「あたしと昌山の事もあるし、別に不自然だとは思わないけどね。古庄寺くんについては後で立海に直接聞いてみるのが早いんじゃない?」
「出来るならそうしてるよ。」
立海とはそれ程親しくない里からすれば、確かにそれを確認するのは難しいだろう。後で謝罪の序でに確認して、里にも情報共有すれば良い。古庄寺くんが男だと言い張るなら何かしら事情があるのだろうし、女同士でしか出来ないフォローをしてあげれば良いのだ。
「琹。」
そうこうしている間に話が纏まったのか、全員でボートに乗り、島を移動する。あぁ、これから一週間、何もなければ良いけど。