Target7:四天宝寺中男子テニス部
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夜、忍足ママと忍足との三人で夕飯をご馳走になって、忍足パパに着替えを届けてくると出て行った忍足ママに代わって食器を洗っていると、急にスマホの着信音が鳴る。それはメッセージの通知音ではなくて、電話の着信音だった。
自分の物かと思い、手の水気をタオルで拭いポケットからスマホを取り出すが、あたしのスマホは普段と変わらない。それなら誰の、と耳を澄まして音源の場所を探る。案外簡単に見つかったそれは、リビングのテーブルの上にあった。
忍足のスマホ。机上に置かれたそれは、画面が上を向いていてプライバシーも何も有った物ではない。発信者の名前には、"謙也"の文字が表示されていた。
しかしながら、スマホの持ち主である当の本人は入浴する為に浴室に向かったばかりだ。どうしよう、と考えている間にも随分と長い事鳴っている着信音は途切れる気配がない。多分謙也は、当たり前のように忍足が電話を取ると思っているのだろう。あたしも昌山相手なら同じ事をする。
仕方なくあたしは忍足のスマホを持って脱衣所に向かい、その扉をノックした。
「忍足、電話鳴ってるけど。」
「誰からなん?」
「キミの従兄弟。」
ノックしたところで不用意にドアを開ける訳もなく、そのまま声をかけると、忍足は着替えの途中だったのか充分声が届く範囲に居た。扉越しに呆れたように溜息を吐いた気配がして、代わりに出といて、と。
忍足はあたしを信用し過ぎだ。あたしは謙也と話した事も無ければ、忍足から謙也の話を聞いた事がある訳でもない。それなのに謙也とだけ登録されている名前を見て、従兄弟だと言い切ったのに。
例え相手が身内だといえど、あたしが彼等の仲をめちゃくちゃにするなんて考えても無いのだろう。する気は無いが、彼はもう少し警戒心を持つべきだと思う。
「分かった。」
扉の向こうに居る忍足には気付かれないように一つ溜息を吐いて、通話ボタンを押して耳に当てる。瞬間に向こうから聞こえてくるマシンガントークに、思わず耳から距離を空けた。
「出るん遅いわ、侑士!」
その言葉から始まったマシンガントークは止まる事を知らない。お目当ての"侑士"が入浴中である事を告げる為に開いた口が間抜けだった。取り敢えずスマホのサイドにある音量調整ボタンで強制的に音量を下げてから本体を耳に当てる。それから謙也の言葉が途切れる時がないかと相槌を打つ事もせずただひたすらに沈黙を貫くが、途切れる気配の無いそれに手持ち無沙汰になってしまって、仕方なくスマホを耳に当てたままリビングに移動する。耳に当てたまま、頬と肩の間にも挟む形でスマホを固定させ、洗い物を再開しようと水道の蛇口を持ち上げたところで漸く電話の先の彼の言葉が途切れた。