Target2:転生少女
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充分に温まった身体をパジャマ代わりのTシャツで包んで、タオル地のショートパンツを履く。里はTシャツにハーフパンツ、最後にカーディガンを羽織って脱衣所を出て行った。その背中はなんだかウキウキと弾んでいるようで、余程大石からのお誘いが嬉しかったと見える。勝手に返事をしたが、間違いではなかったらしい。少しだけ調子に乗って鼻を高くする。流石、と自画自賛してもそれに対して反応を返してくれる相方はここにはいない。
あぁ、そろそろあたしも行かなければ。
ドライヤーで粗方髪を乾かすと、適当に荷物を纏めて脱衣所を出る。足を運ぶ先を女子部屋と食堂とで迷って、結局食堂に向けた。荷物を置きに一度戻ろうかとも思ったが、多分仁王がもう食堂で待っているだろう。人を待たせるのはあまり好きではない。
少し早足で廊下を進み、食堂のドアを開ける。混み合っている中で見つけた銀色に、そっと声をかけた。
「おまたせ。」
「……なんじゃ、仲直りでもしたんか?」
全てを見透かすような仁王の目。微妙に顰められる眉頭。それに対して、あたしはニンマリと口元に弧を描いてみせた。
「お陰様でね。」
その言葉に込めたのは、文字通りの意味だけではない。下げた目尻も上げた頬も、それを意味する所は喜色だけれど、埋まる思考には少し揶揄いも含んでいた。
つまらないとでも言いたげな仁王の視線に対する揶揄い。仲直りのきっかけを作ったのは仁王だと言っても過言ではないのに、拗ねているように見えてちょたの言葉を思い出した。
あたしが一人で居ると嬉しいのに、あたしを一人にしたい訳ではない。
それはきっと、多分。こういう事なんだろう。
あたしが人に嫌われるようにしたい訳ではないけど、自分以外の人と一緒にいて欲しくない。何とも難儀な感情だよなぁと勝手な感想を抱くが、ニヤけるように口角が上がるのは抑えきれなかった。
「……ねぇ、仁王は、あたしが一人で居ると嬉しい?」
食事を取りに行く前に、仁王の座っている席の前に荷物を置きながら問い掛ける。ちょたにした質問と同じ質問。まともな答えは返ってこないだろう。ちょたとは違い、彼はきっと素直に心中を晒してくれるような人では無いような気がする。
「……さぁ、どうじゃろうな。」
案の定、明確な答えは返ってこなかった。けれど、予想していた物とも違った。
曖昧ではぐらかすような答えだと思っていたのに、実際に返ってきた答えは、どうにも自分にもよく分からないといった感じで。彼の言動は、どう見ても独占欲に他ならないのに。