Target2:転生少女
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「……何よ。」
「いや?……ただ、色んな人に迷惑をかけたなぁって。」
そうね、と里は口にして、呆れたように肩を落とすと、ニヤリ、と口角を上げた。
「琹は二回も喧嘩してるしね。」
よっ喧嘩番長と口元に右手を添えて声を上げる仕草は、明らかに揶揄いを含んでいた。あたしはぱちくりと瞬きを繰り返す。
少しだけ、このやりとりが姉妹みたいで。再度笑い声が口を吐いた。
今度は里に文句を言われる前に此方から言葉をかける。
「ごめんね、案外簡単なんだなって。……嬉しくて。」
あたしは周りからの評価が手に入らない。里は人間関係を上手く作れない。
そうして勝手にすれ違って、拗れて、もう二度と正すことなんて無いと思っていた。けれど実際は。
「ちゃんと話せば、変わるんだなって。」
あたしの言葉に隣の彼女は微かな、それこそ吐息で掻き消されてしまう程小さな声でそうね、と同意する。そして、優しく笑った。
「……大石のあんな笑顔、初めて見た。」
嬉しかった、とでも言いたげにゆるりと弧を描く口元に、気がついてしまった。あぁ、そうか。里は大石の事が、きっと。
だったら、どうして先程は大石の誘いを断ろうとしたのだろう。好きな人からの誘いを断るなんて、余程大事な用が無い限りあたしならまずしない。
「どうしてさっき、大石の誘いを断ったの?」
分からないことは聞いてみる。それはがっくんに指摘されてから意識してしている事だった。相手の事を予測で片付けないように。
それを知ってるからだろうか、がっくんは大抵の事に答えてくれるが、他の人達は答えてくれない事も多々あった。
里も、そう。この質問には目を伏せて露骨に話題を変える。触れるな、と示されたからには、もうしつこく問いただすことは出来ない。
里は無言で湯船から出る為に立ち上がる。あたしもそれに続いた。
むわっと湿度の高い空気が露出された素肌に触れる。冷えた身体は十分に温まっていた。それはきっと、身体だけではないのだけど。
「早く行かないと、仁王が待ってるからね。」
そのまま脱衣所へと足を運ぶ。そんなあたしの背中に、そうね、と嬉しそうな声が届いた。