Target2:転生少女
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"里ちゃん、見つかったよ。"
スマホのメッセージを確認すると、たった一言それだけが大石から送られていた。良かった、と安堵したのは何故だろうか。地面へと落ちる雨を眺めてもその答えは出なかった。
「……止みそうにないな。」
大石のメッセージへ返信はしなかった。了解と、その一言ですら返せなかった。雨で濡れたスマホの画面に指を滑らせても反応しない。物理的に返信ができなかった。スコートの裾で画面を拭いて再度試してみるが、体温の失われた指先では反応は見られない。何度か試したが、それでも反応しないスマホに諦めの溜息をついて、ポケットへと滑り込ませる。既読のマークは付いている筈だから、あたしが確認したことは大石にも伝わるだろう。
ぼーっと降り続く雨を眺めるあたしの頭の中で里の言葉が反響する。
"独りぼっちは、いつも私。"
里はそう言っていたけれど、そんなことない。少なくとも元の世界では里の周りには沢山の人が居た。凄いね、流石だねって色んな人に声をかけられていた。
あたしが欲しい言葉を欲しいままにしていたのだ。独りぼっちなんかじゃ無かった。
もしもそれを独りぼっちだと言うのなら、それはきっと。忍足と一緒。存在している"情"に里が気がついていないだけ。
(それはちょっと、寂しいなぁ……。)
すとん、と木の幹に背中を預けてそのまま地面まで身体を落とすと、頭上を覆う木の枝から距離が出来たからか視界に入る空が大きくなった。きっと里も一緒。少しだけ見方を変えれば、きっと独りぼっちではないと気がつくのだろう。
そしてきっと。あたしも、同じ。
本当にあたしは、何もできないのだろうか?褒められたことはないのだろうか?
里が出来ること、それはあたしに出来ない事。じゃあ、あたしが出来ることは?里には出来るのだろうか。
あたしはずっと周りの評価が怖かった。里より劣っていると言われるのが嫌だった。だから里が嫌いだった。
本当に?
本当に周りの人達は、あたし達を比較していたのだろうか。主観的な感情で記憶された思い出では、それはもう定かではないけれど、多分。
確かなのは、一番あたし達姉妹を比較していたのは、あたし達だったって事だ。お互いがお互いに自分のコンプレックスを刺激するように比較していただけ。第三者から見たらそれはただの被害妄想だ。あぁ、だから。もうそれじゃいけない。
あたしは立ち上がって雨の中へ駆け出した。
里を許すために、あたし自身を許すために。
雨があたしの身体を打ち付ける。それでも心は晴れやかだった。