Target2:転生少女
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「大丈夫かよぃ?」
黙々と食事を口に運んでいると背後から声をかけられて噎せる。ゴホゴホと咳き込んで、目の前に差し出されたグラスに手を伸ばした。
「お、おい、大丈夫か?」
どうやら声をかけてきた人物とグラスを差し出してくれた人物は別人だったようで、振り向くと背後に居たのは二人だった。浅黒い肌と、赤い髪。ジャッカルと丸井だった。
「大丈夫、ありがと。」
「いや、ブン太が急に声かけて悪かったな。」
「うん、それこそジャッカルのせいじゃないよね……ってごめん、桑原。」
別にジャッカルでいいぜ、と言ったのは本人ではなく丸井の方だったが、本人からも文句が出なかったからお言葉に甘えることにする。とりあえず二人の用件を聞こうと、食べ終わった食事に手を合わせ改めて二人に向き直った。
「で、二人の用件は?」
「お前今、水羽に殴られてただろ?そんで、昨日お前が殴った赤也の手当てを今からするから序でにお前もしてやるよ。ジャッカルが!」
あ、はい。と思わず口を吐いたのは、丸井のお決まりの文句が想像よりも横暴だったからか、チクチクと彼の後輩に手を上げたことを非難されたからか。どちらかは分からないが、彼らが赤也に手を上げた事をあまり気にしていないのは確かだ。気にしていたら手当てしてくれるはずもない。
それを肯定と捉えたのか、行くぜ、と食堂を出て行く二人に慌てて返却台に向かう。あたしが食堂を出ると、二人に加えて赤也もあたしを待ってくれていた。
「あー……うん、なんか、ごめんね。」
「別に気にしてないっスよ!痛くねぇし。」
赤也の頬には昨日の白い湿布が目立って、肩身が狭くなる。衝動的だったとはいえ、彼への罪の意識は消えそうになかった。彼に手を上げた理由は、あまりにも幼稚で偽善的で。あまり褒められたものではない。
「んじゃ、行こうぜ。」
丸井は頭の後ろで手を組み、ぷーとお気に入りのグリーンアップルガムを膨らませながら先頭を歩く。そんな丸井もだが、赤也もジャッカルも先程の姉妹喧嘩は気にしていないようだった。まぁ、誰も姉妹だという事は知らないのだけど。
丸井、ジャッカルに続いてあたしと赤也が並んで医務室の廊下を歩く。扉を上げると広い空間に目を奪われた。流石に榊先生の所有する施設なだけあって設備が凄い。先生方に声をかけずに使っていいのか、というあたしの問いかけに答えてくれたのはジャッカルだった。
「湿布貼るだけだし素人でも問題ないだろうから勝手に使っていいってよ。」
「成る程ね。じゃあ、宜しくお願いします。」
赤也と並んで座り、ジャッカルが湿布を用意してくれるのを待つ。二人分の湿布を用意するジャッカルに、もう一つ余分に欲しい、と言えば怪訝そうな顔をされた。丸井に。
「お前、誰を殴ったんだ?」
「言いがかりも甚だしいな!?」
赤也という前科がある以上それも仕方ないのだけど、ジャッカルから余りの一枚を受け取るあたしの眉は呆れたように下がっていた。