Target1:氷帝学園男子テニス部
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「ご馳走様でした。」
パチンと手を合わせて挨拶すると、それを真似してジローちゃんが手を合わせる。いつもはしないその仕草に首を傾げるがすぐに思い当たるものがあった。彼はあたしと同じがいいらしい。する事なす事、一緒でお揃いがいい、と。彼もまた、あたしに対して独占欲を抱いているらしかった。なんとも独特な形ではあるが。
そんな彼は食事を終えて満腹になったからか、眠そうに目を擦る。眠りに落ちないようにゆったりと瞬きをして抵抗しているようだったが、少ししてあたしに凭れかかって眠り始めた。それを見て不満気に頬を膨らませるがっくん。ジローちゃんに対抗してか、少しだけあたしとの距離を詰める。流石に二脚の椅子にそれぞれ座っているからゼロ距離にはならないが、どちらかが身動ぎすると肩が触れ合う程度には近い。
全くこの二人は隠す事をしないなぁ、と何処か他人事のように眉尻を下げると残り二人と溜息が重なった。呆れ顔。お互いに何かと所縁のある人物の行動を見て呆れているらしい。あたしも少なからず思うところはあるが、今はそれよりも、ジクジクと背中に刺さる視線が痛い。視線を集めていたのは席に着いた時からだけど、彼らテニス部が注目を集めるのはいつものことだし、人数が増えている今日は普段よりもそれが酷かったけど。こんなにもジクジクと刺さるものに気づいたのは、ジローちゃんとがっくんとの距離が近くなってからだった。
誰からの視線か確かめようにもジローちゃんの重みで身体は動かず、更にはがっくんに距離を詰められている為に振り向くのに必要なスペースもない。お陰でその視線の意味する所も、その視線の送り主も分からないが、何故かばくばくと脈を上げる心臓のせいで嫌な予感しかしなかった。
何とか誰からのものかだけでも確認したいと、自分の正面に座っている宍戸に視線を向ける。ジローちゃんとがっくんを何とかして欲しい、と訴えてみても宍戸と視線は合わなかった。顔はこちらに向いているが、視線は他の何処かに投げられている。向けている、と表現するには少し乱雑な視線だった。
「……宍戸?」
仕方なくアイコンタクトを諦めて声を掛けるとすぐにこちらに意識を向けてくれる。それはいつもの宍戸だった。
「わりぃ、聞いてなかった。何の話してんだ?」
「ん、いや、特に話はしてないけど。あ、そうだ、氷帝に七不思議とかあんの?」
宍戸の視線の意味を問うのは、何となく躊躇われた。既にいつもの視線に戻っているし、何より宍戸が満足そうで。何が宍戸をそうさせるのかは想像出来ないが、まぁ、本人が楽しそうならいいんだろう。あたしは適当に話題を選び口を開く。もう、背中を刺す視線は気にならなかった。