Target1:氷帝学園男子テニス部
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始業の号令がかかって、先生の単調な授業を聞いてうとうと。体育で運動した後だし、いつものことだと割り切って睡魔に身を任せようと顔を横に向けると、いつもは俺と同じように睡魔と戦いながら手を動かす琹ちゃんの姿が無い。
(珍Cー!)
いつだって真面目な琹ちゃんがサボりなんて。おもしれぇ~、と率直な感想。次いで、何で?と疑問。
本人曰く小心者で臆病な琹ちゃんは、ルールを破るのが怖いらしい。そんな琹ちゃんがサボりなんてできるのかなんて。
(あー……でも、さっき岳人と喧嘩してたっけ。)
いつの間にか少しだけ冴えた目を擦っても、空席となった景色は変わらない。
思わず俺が起きるくらいには激しい口喧嘩をしていたから、本人が言う通り小心者で臆病なのだとしたら、授業なんて受けてる場合じゃないんだろう。
そう思いながら伏せた顔の向きを変えた。
琹ちゃんの居ない授業はいつもよりずっと退屈だ。
結局琹ちゃんは、授業が終わるまで帰って来なかった。
けれど体操着のまま教室に戻って来た琹ちゃんの顔は晴れ晴れとしていて。制服を引っ掴んで慌ててトイレに向かう時の表情も普段通りだった。
そんな行動に、仲直りできたのがありありと分かって妙に心臓が跳ねる。琹ちゃんが自分の幼馴染と気まずい雰囲気で接してるのは嫌だった。琹ちゃんの好きなものは俺も好きになりたいし、俺の好きなものは琹ちゃんにも好きになって欲しいし。琹ちゃんと同じがいい。
だから本当はさっきだって、サボるなら一緒に連れて行って欲しかった。
今更言っても遅いけど。
琹ちゃんの席が埋まった事で再度ふわふわしだした思考回路を働かせる。
琹ちゃんはどこか人に同調しやすいと思う。それと同じくらい、人に執着しやすい。俺も、多分おんなじ。大好きな人とは同じがいいし、そんで俺の大好きな人は手放したくないと思うから。
そんな琹ちゃんを受け入れた俺はきっと歪んでる。そんで、歪んだ俺を可愛がってくれる琹ちゃんも、歪んでる。おんなじ。全部おんなじ。
だってもう琹ちゃんがいない日常なんて想像すらできないC。
それなら琹ちゃんだって、 俺が居ない日常なんて想像しないで。
そう言えばきっと、琹ちゃんはそうしてくれる。だから後で言ってみようか、と思いながらふわっと欠伸を漏らす。
それすらも、彼女と同じだったらいいのに。