Target1:氷帝学園男子テニス部
name input
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……なぁ、それなら。"俺たち"の物にならなんのか?」
がっくんの言葉に息を詰まらせる。正直、なんて答えようか迷った。がっくんの俺たちに誰が入っているのかもその理由を一つだけど、そもそも誰かの物になる、というのがピンとこない。あたし的には誰かの物になった時点で、その人が絶対になるのだと思っている。悪く言えば言いなり、よく言えば主従のようなものか。
ちょうど跡部と樺地のような関係に近いかもしれない。
ただ、樺地は望んで跡部の側にいるのだし、跡部もそれを容認しているだけで所有物扱いはしていないが。
少々ズレがあるが、誰かの物になるというのはこんな事なのだろうとあたしは思う。
だけど、跡部は兎も角としてがっくんがあたしを言いなりにしてどうしたいのかが分からない。彼らとの思考にズレがある気がするのだ。
「……がっくんは、あたしをがっくんのものにしてどうしたいの?」
「……なんつーか、あー、独占?うまく言えねーけどさ、他校のヤツとかに渡したくないっつーか……。」
がっくんがしどろもどろになりながら、説明するように言葉を紡ぐ。それは徐々に小さくなって、最後は消え入りそうな程にか細くなっていた。自信がなさそうな仕草は、がっくんもあまりよく分かっていないような感じで。本能であたしを自分の物にしたいと思っているようだった。それが少しだけ可笑しくて。
「……ぷっ、何それ!」
真面目な話をしていた筈なのに、あたしの口をついたのは笑い声だった。当たり前のようにがっくんは不満そうな顔をする。
彼らの言う、自分のものというのが独占欲であるのなら。
「ごめんごめん、怒んないで。……いいよ。君たちの……テニス部のモノになら、なってもいいよ。」
独占欲であるのなら、それは光栄だとしか思えなくて。他でもない、あたしを選んでくれたことがただ、嬉しくて。
あぁ、だけど。これじゃ少し不公平だな、と思ったから。
「その代わり、君たちもあたしのものになってくれる?」
図々しいな、と思う。彼らはとても素敵で魅力的で。
忍足に恋するあの子のように、彼らに好意を抱く人は少なくないだろう。きっとあたしに好意を抱いてくれる人なんて、比べ物にならないくらいに。そんな人達を独占させろ、なんて。
それはあまりにも身の程知らずだ。
けれど彼らを独占できるのなら、それでもいい気がした。
がっくんに言われて気がついたのは、何も彼らが生きているという事だけではない。同時にそんな彼らに、あたしが独占欲を抱いていることも気がついてしまったのだ。
だから、ただのクラスメイトになんか、忍足の話をしたくなかったのだ、と。あれが例えば昌山の事だったら。何も気を使わずにベラベラと話していた。絶対に。
好きな食べ物も好きな女の子のタイプも。知っていること全部。それは別に昌山の事がどうでもいいのではなくて、昌山を独占したいとは思わないから。
だけど、実際に彼女が聞いてきたのは忍足の事だった。だから、あたしは、答えなかった。
忍足を、独占したくて。あたしの今の立場を、あの子に渡したくなくて。
あたしも彼らと同じ独占欲に