Target8:男装少女
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「で?
ジローちゃんと別れてぼーっと空を見つめているあたしの背中に言葉を投げかけたのは平古場だった。どうやら人目を避ける内に
そのまま地面へと腰を下ろす。
「ただ考え事してただけ。平古場は?」
「
「あぁ、そう。」
そういえば、あたしは意外と比嘉中の方言が理解出来ているなぁ、と沖縄の方言は分かり難いからと沖縄訛りの標準語で話す彼をちらりと想った。
「そういえば、一人?他の二人は?」
「え?あー……。」
声だけで彼の迷いが見えて、空へと投げていた視線をもう一度平古場に戻す。彼方此方へと視線をやる平古場の姿に、残念ながらあたしの予想は後者であったらしいと眉を寄せた。少しだけ距離も詰められたかと思ったが、どうやら一方的であったらしい。こんなにも警戒される事が今まで無かった所為で、彼等を手負いの犬の様に感じてしまって苦笑を漏らした。
「……永四郎達は
「え?……ちょっと意外。」
木手達が古庄寺くんと積極的に関わりに行く所も、そしてそれを素直にあたしに話してくれる所も。そのどちらも意外だとの意味を込めたつもりが、平古場は前者と受け取ったらしく小さく言葉を口内に反芻させてあたしの隣へと腰を下ろした。
「
しっしと手の甲であたしを追い払うような仕草をする。これは木手が戻る前にさっさと戻れと言うことだろうか。別に木手に見つかった所であたしには不都合はないのだけど、と立ち上がるのを一瞬躊躇って、それでも平古場に従おうと腰を持ち上げた、瞬間。微かにカサリと葉が揺れる音がした。
それはつまり、何かの気配。あたしは反射的に茂みを睨みつける。
問題は、このガサガサとした物音を立てている物の正体だ。微かな音と言えど、虫にしては大きい音。虫じゃない。野良犬や野良猫がいるような場所でもない。
だけど、あたしは知っている。
この島には、蛇がいる。
ひっ、と喉まで出た悲鳴を呑み込んだ。
ダメなのだ、どうしても。カエルや蛇は。
右足を一歩引き、逃げる体制は万端である。
そんなあたしとは裏腹に、平古場は笑い声を上げた。