Target6:腐少女
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ぜぇぜぇと肩で息をする。カッとなった思考も少しだけ鳴りを潜めた。
「……ッ、もういい。あたしは二度と元井に関わらない。キミはキミで好きにすれば良い。大丈夫、仕事をしていない事は誰にも言わないし、今更仕事をしろと言うつもりもない。その代わり、二度と跡部達に近寄らないで。あたしは跡部達にキミが近寄らなければそれで良い。」
低い声。矢張り元井とはどれだけ足掻いても相入れることは無いのだ。最初からこうしておけば良かった。中途半端に同情をしなければこんなに不快な思いをする事も無かったのだ。
未だに熱くなる頭を冷やそうと、元井が机上で温度を戻していたドリンクボトルの入った籠を引っ掴みコートへと向かう為に扉を開けた。
「……何。」
無遠慮に掴まれた腕に振り返ると、未だ怒りの
「何、あたしを殴るの?……好き勝手言って逃げるような弱虫のくせに、生意気。」
元井の視線はあたしを越えて、更にその先に向いていた。何を見ているかなんて考えられる程、あたしの思考に余裕は無い。じくじくと胃の辺りに不快感が巣食って、少しだけ落ち着いていた怒りを再熱させる。あたしは迷わず手を振り下ろした。
元井が反射的に目を強く瞑る。その頬をあたしの掌が打つ事は無かった。
「……琹、さん。」
「樺地……。」
あたしの右手は、振り上げられたまま樺地に掴まれて止められていた。じっと見つめられると居た堪れなくなる。周囲を確認すると、多くの選手の視線を集めていて思わず少し身動いだ。
樺地と視線を合わせふぅ、と一つ大きな深呼吸をすると、急激に頭が冷える。そうだ、冷静になれ。此処で元井を殴ってしまえばあたしは被害者ではなくなる。これだけ
「樺地、ありがとう。もう大丈夫。」
「……ウス。」
樺地の手が離れ、重力に倣って落ちる手を自身の身体に沿わせた。もう振り上げる事はしない。元井に何を言ったのか、元井に何を言われたのかは曖昧だが、それ程大切な事は言っていないだろう。そんな大切な話が出来る程、気を許してはいないし、冷静だったとも思えなかった。
元井の口元はニタニタと弧を描いている。少しして強く瞑っていた瞼を恐る恐る持ち上げると高らかに笑い声を上げた。