Target6:腐少女
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「あたしは、違うよ。……信じるか信じないかは、どうでも良い。あたしの世界では跡部達はとある漫画の登場人物だったんだ。」
そう自分から口にしたのは、初めてだった。
跡部達に言えない事、それを元井に知って欲しかった。
今でも元井の事は嫌いだ。関わりたくないし、跡部達にも関わって欲しくない。けれど、唯ちゃんが元井もトリップしている可能性があると言うから。元井は独りぼっちなのかもしれない、と。
以前唯ちゃんがテニス部が欲しいと言った時、彼女はきっと寂しかったのだと思う。一人でよく知っているけれど全く知らない世界に来て、手を差し伸べてくれる人も居なくて、怖くて不安だったのだと思う。確信を得たのは今日だけれど。
それならば、元井も同じなのでは、と。だから少し歩み寄ってみようと思ったのだ。ただの同情心。綺麗事、偽善。どれもが当てはまり、どれもが当てはまらなかった。
あたしの言葉が元井の
「アンタが何を考えてるのかは知らないけど、その表情ムカつくからやめて。……あと、アンタの話なんてどうでも良い。」
あたしより身長が高い所為で僅かにだが、元井に見下される。その表情をやめろと言われても、自分が今どんな表情をしているかなんて分かる筈もない。此処には鏡も無いし、意識して表情を作っている訳でもないのだから。
掴まれた胸倉は赤也の時程持ち上げられていないからか、息が出来ない程苦しくはないが、不快だ。ムカムカと今まで堪えてきた物が込み上げる。ムカつく、イラつく。カッと頭に火花が散ったかと思うと、何も考えられなくなった。それなのに口だけは饒舌に言葉を発する。あたしは強めに元井の肩を突き飛ばした。
「元井、キミ、何様のつもり?キミが何も話さないから、あたしとの会話を拒絶するから、勝手にキミの立場を想像して差し伸べた手をどうでも良い?
あたしが突き飛ばした所為で床に投げ出され腰を打ち付けた元井が、そのままの姿勢で此方をジロリと睨みつける。
「
さっさと出て行ってよ!と金切り声を上げた元井はその場を動かない。ジロリとあたしを睨みつけるその視線には怒り以外何も滲んでいない。
馬鹿みたいだ。元井が寂しいかもなんて考えていた自分が。
「……それを決めるのはキミじゃない。跡部達だ。」
パチパチと思考に閃光が走る。あたしが口にしているのが酷く押し付けがましい言葉だとか、大人気ないだとか、普段なら直ぐにでも気がつけることすらあたしは見逃していて。そして継ぎ接ぎだらけの言葉を論破するだけの冷静さは互いに持ち合わせていないものだから。
互いの主張が微妙に噛み合っていない事に気付いてなんていなかった。