Target6:腐少女
name input
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
瞼を持ち上げるとよく見知ったシーツが目に入る。ぼんやりと昨日の事を思い出そうとすると、丁度設定しておいたスマホのアラーム音が鳴った。
やばい、と思うよりも先に布団を飛び出していた。
ばさりと捲られた掛布団を整える余裕も無い。昨日はソファで寝ていたところを忍足が寝室に運んでくれた筈。そこまでは覚えている。制服のスカートではなくいつもルームウェアとして履いているホットパンツを身に着けているから、きっと忍足が皺にならないように着替えさせてくれたんだろう。制服のスカートは丁寧にクローゼットに収められていた。
バタバタと浴室に向かい身に纏っていた衣服を全て洗濯籠に投げ入れると熱めのシャワーを頭から被った。一気に覚醒して冷静になる頭でスケジュールを確認する。今日はもう朝食を摂っている時間は無いだろう。結局買い物にも行けていないから主食は無いし、仕方ない。
登校中にコンビニにでも寄るか、とシュミレーションするが時間が足りなさそうだ。今から髪を乾かして服を着替えて、鞄の中身を今日の授業に合わせて入れ替えるだけでも忍足を待たせてしまう事になる。その状況でコンビニに寄っている暇は無い。
あたしは朝食をすっぱり諦めて浴室を出た。適当に水気を拭き取り、手早く下着を身に着けカッターシャツを羽織る。片手でボタンを上から留めていきながら歯ブラシを咥えた。我ながら器用だ。
ボタンを留め終えると口内を濯ぎ、自室に戻って忍足が収めたスカートに両足を差し入れて持ち上げる。ウエストのフックを止め、チャックを上げると身嗜みが整うまではもう少しだ。
「今日の時間割何だっけ……。」
時間割表と格闘しながら教科書とノートを鞄に詰め、再度浴室に戻るとドライヤーのプラグをコンセントに差し込んでスイッチを入れた。以前よりも短くなった髪は乾くまでそれ程時間はかからないだろう。今日はそれが有り難かった。
今日の授業、課題提出は何が有っただろうか。一限目に課題提出が無いのが救いだ。しかも、一限目の教科担任は規則に緩く、手元で別の作業をしていたところで咎められる事は無い。昨日終えられなかった課題は一限目の授業中にこなす事にしよう。ごめんなさい、先生。なんて白々しくも思っていると、粗方髪が乾いて、急いで荷物を抱え玄関を出た。
「おはよう、忍足。ごめんね、昨日も今日も。」
「おはようさん。琹ちゃん、ネクタイずれとるで。」
嘘、と自身の首元に視線を落とすと、忍足の言う通り慌てて締めた所為かネクタイが歪んでいた。アハハと苦笑を漏らしながら一旦解いてもう一度締める。前の学校では女子はリボンだったし、夏服ではそれすらも無かった所為か、未だにネクタイには慣れない。締め直したところでまた歪んでしまった。
「……貸してみ。」
しゅるりとあたしのネクタイが忍足の手によって引き抜かれ、再度首の後ろを回った。両手でネクタイに巻き込まれた髪を引き抜くと、忍足が器用に結び目を作っていく。
「普通これって逆だよね。」
「せやな。せやけど別に琹ちゃんが苦手なんやったら俺がやったらええし、気にすることやないわ。」
そう言いながら、出来たで、と軽く結び目を叩いた。
きちんと綺麗な結び目を作ったネクタイが少しだけ窮屈で、人差し指をかけて緩めようとして、止めた。どうせ学校に着いたらジャージに着替える為に直ぐ解く事になるのだ。それまでは、このままで。
あたしはいつものように、手を繋いで忍足と並んだ。