Target6:腐少女
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ジローちゃんの姿が見えない。
それ自体は別に珍しい事ではないし、疑問に思う事は無い。けれど、元井の行動がジローちゃんを探しに行ったと言われたら納得出来てしまう物だったから。
あたしは跡部と樺地に近寄りタオルを差し出した。
「跡部。元井にジローちゃん探しに行かせた?」
序でにレギュラー達のランニングのタイムを聞いてメモを取りながら、元井の居場所を探るがこれも否定される。跡部はジローちゃんを探せなんて言っていないらしい。寧ろこれから樺地に探しに行かせる所だった、と。
「……元井探しがてらあたしが行ってくるよ。」
「お前、まだやる事終わってねぇんだろうが。」
実際、昼に干したタオルを取り込んで畳まなければいけないし、先程跡部から聞いたランニングのタイムを選手表に記入して、これから行われるであろう打ち合いの記録も取らなければならない。加えて、元井に準レギュラー以下の練習のサポートを教えなければいけないし、万が一誰かが怪我をすれば手当てもしなければ。やる事は山程ある。明日の分のドリンクも中途半端に作りかけで、冷蔵庫にも入れていない。
「終わって、ないけど。どの道元井探さなきゃ仕事教えられないし。」
「元井とジローが一緒に居るとは限らねぇ。元井だけ探しに行け。な、樺地。」
「ウス。」
ぽんと軽く頭に手を乗せられる。夏が近づいてきて温度も上がっている以上あたしも汗をかいているから、あまり触れて欲しくない箇所ではあるのだけれど、それでもその大きな掌を感じると、何を考えるよりも先にえへへと頬が緩んだ。
「……うん、そうする。樺地ごめんね。」
「琹さんが……気にする事では、ありません。」
ありがとう、と口にして、残りのタオルを急いで渡して行く。日吉に渡した時に一瞬だけ恨めしい目で見られたがその原因に心当たりはないから、後でゆっくり話を聞く事にして、お決まりとなった言葉を口にしてコートを後にする。何度も繰り返しているし、彼等も重々分かっているだろうから今更言う事でもないのだが、何となく口にしないと落ち着かなかった。
空のボトルは籠に入れておいてね、と。ちゃんと後で取りに来るからという自己主張かそれとも。
コートから部室に戻る途中で、一応元井の姿を探すが見当たる気配は無い。どこに行ったんだ。
元井のしたい事が分からない。跡部達を好きだと言った。それは本人の口から聞いたから間違いは無いだろう。けれど彼女の行動は跡部達に好かれようとする物には思えない。昼食の時に日吉が疲れていたところから、教室で猫を被っているというわけでもないのだろう。ならば何故、あの子はあたしと跡部達を引き離そうとするんだろう。分からない。
あぁ、もう。誰かがあたしの代わりに答えを出してくれればいいのに。何だか頭が痛かった。