Target6:腐少女
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元井未莉と名乗ったその子は、あたしを見つめてニヤニヤと笑った。
「汐原。ねぇ、今どんな気持ち?」
ニタニタと笑う元井の顔は至極嬉しそうだ。勝ち誇ったような。
元井はテニス部のマネージャーとして入部届けを出したらしい。前回の唯ちゃん同様、あたし達部員には拒否する権限は無く、榊先生も拒否する理由は無いと判断してしまった。となれば、不本意だが受け入れるしかない。
「……最低な気分。」
「だよね!」
歪んだ
部活が始まって一時間程経ってから榊先生に連れられて来た元井は、制服が届いていないのだから体操着を持っている訳がない。それを見兼ねた榊先生からあたしのユニフォームを貸すように言われロッカールームを案内したが、その短時間ですらこの調子なのだ。何度も同じような質問を繰り返し、勝ち誇ったような顔をする。
何様のつもりなのだろう。一々気にする質ではないが、完全にあたしの事を舐め腐っている。先輩には普通敬語だろう。特に運動部なのだからそれが顕著に現れているのは考えないのだろうか。
果たしてあたしの予備のユニフォームに着替えた元井は満足そうに胸を張った。
「似合う?」
「似合わない。本当は今直ぐにでも返して欲しいくらいにね。」
八本ラインのユニフォームは、あたしの一番の宝物と言ってもいい。跡部達を除けば、の話だが。
それを自分が嫌っている人間に貸すなんて、これ以上の屈辱があるだろうか。もしそれが許される立場なら、あたしは榊先生に泣きついてでも拒否してやったのに。残念ながらそれを出来る立場には居ないのだが。
「……行くよ。」
あぁ、コイツに付き合っていた所為で終わっている筈だった仕事が終わっていない。取り敢えずドリンクをコートに持って行って、明日の朝の分を作らなければ。そうだ、準レギュラーの分は元井に持って行ってもらおう。それなら準レギュラーの負担も減るし、あたしも元井を跡部達から遠ざける事が出来る。
あたしは元井を連れて準レギュラー達の部室に入った。
「ドリンクとか洗濯とかはこっちにしか設備が無いから基本的にはこっちの部室で。準レギュラーのドリンクはウォータージャグに纏めて作って紙コップと一緒に持って行って。後はセルフサービス。」
「レギュラーは?」
「個人のボトルがある。そっちはあたしがするから手を出さないで。」
淡々と、あくまでも私情を抑え込んでマネージャーの仕事を説明していく。元井には遠回しに言っても仕方ないだろうから、明確な拒絶を示したが、それは逆効果だった。
元井はニタリ、と口角を上げた。
「じゃあ、あたし、レギュラーにドリンク渡してくるから。」