Target6:腐少女
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四限目終了のチャイムが鳴り、生徒達が先生そっちのけで片付けを始める。いくら品行方正な生徒達と言えど空腹は耐えられないのか、授業を延長される前にちょっとお茶目な委員長が号令をかけて強制終了させた。それに密かにナイス、とサムズアップしてあたしも購買へと走る。今日はいつもと毛色を変えて、甘めの菓子パンにでもしようかなと財布を片手に人混みを掻き分けた。
「……多くない?」
何時ぞやにも似たような反応をしたな、と思い返すが、その時よりも確実に人数は増えていた。
パンを買いに行く為に号令と共に教室を飛び出したあたしの席の周囲には、最早恒例となった宍戸とジローちゃんを皮切りに、がっくんと忍足、そして何やら不機嫌そうな日吉と、反対にご機嫌なちょたがあたしの帰りを待っていた。以前とは違い、まだ誰も食事に手をつけていない。日吉が不機嫌なのが気になるが、一先ずただいま、と声をかけておいた。
「ねぇ、この人数だと流石に教室じゃ迷惑だから、いっそのこと跡部と樺地と滝も誘って中庭行こうよ。」
「せやな。」
「んじゃ決まり。三人に声掛けて行くから先に行ってて。」
あたしの声に各々借りて来た椅子を返し、中庭へ向かう。あたしも自分のパンと飲み物を宍戸に預け、B組、A組の順で声をかける事にして廊下へ出ると、ふと左手を引かれる。
「……俺も、行きます。」
いつも以上に鋭い目を吊り上げ、眉間に皺を寄せるその表情は、今朝の自分とよく似ていた。
「じゃあ一緒に行こうか。」
左手首を掴む日吉の右手を自分の右手で優しく外し、今度は掴むのではなく左手を繋いだ。少し驚いたように一瞬手に込めた力を緩めあたしの拘束から逃げようとするが、それは手を繋ぐのが嫌だったからではないのだろう。直ぐに再度力が込もり、手を繋ぎ直してくれた。
隣のB組までの、ほんの数メートルの廊下をそのまま歩き、開いている扉から中を覗き込む。滝の姿は有るには有ったが、彼は既に食事に手を付けていた。一瞬声をかけようか迷っていると、日吉が滝を呼び、寄ってきた滝にかくかくしかじかと事情を説明する。滝は弁当を一度片付けて行くから少し遅くなるね、と笑った。どうやら中庭には来てくれるらしい。あたしは日吉と手を繋いだま、滝にふわりと笑みを浮かべた。
「じゃあ、あたし達も跡部達に声をかけてから行くね。」
また後で、と滝と一度別れ、A組で跡部との似たような会話の末に主要メンバーが全員中庭に集合する事が確定した。
その時の跡部の視線は、日吉と繋がれた左手に注がれていた。