Target1:氷帝学園男子テニス部
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ふぅ、と息を吐いて伸びをする。時計に視線をやるともう少しで部活終了時間だった。
先に着替えを済ませておくか、とロッカールームのドアノブに着替え中の札をかける。それからロッカールームに入ると鍵をかけた。
これは今まで女子マネージャーが居なかったための苦肉の策である。部室がレギュラーのものとその他の部員のものしかない為、女子の着替える場所が無いのだ。因みに鍵までかける必要は無いと思うのだが、忍足とそれから意外な事に向日が語気を荒げたため素直に従っている。
別にスカート履き替えるときは一度下に履いてから先に履いてるものを脱ぐし、上だって中に一枚Tシャツを着てるから気にしないのにな、と思ったが彼らが気にするなら仕方ない。
女子に着替えを見られるのを恥ずかしがる年頃なのだろう。成る程、思春期。
ユニフォームから制服へ、丁度着替え終わった頃にドアの外から声がかかる。どうやら部活終了時間になったようだ。
「ごめん、ボール数え終わらなかったから置きっ放しになってる。足元気をつけて。」
ドアを開けながら伝えると、ゴン、と鈍い音が聞こえる。次いで、ガシャン、コン、コーンと明らかにボール籠をひっくり返した音が響いた。恐る恐る少しだけ開けたドアの隙間から、先程まで作業していたプロジェクタールームを覗く。其処には、ひっくり返った籠とあちこちに散らばったテニスボール。そして額を押さえて尻餅をついた向日の姿。
この状況からしてあたしが急にドアを開けたが為に、向日がドアにぶつかり、更に置きっ放しになっていたボール籠に足元を取られ転んだというのが明らかだった。
「……向日大丈夫?怪我してない?」
今度はゆっくり、外を確認しながらドアを開け向日の安否を確認する。屈んで向日に視線を合わせると、差し出した手を
「……クソクソ、何で急に開けんだよ!」
明らかに怒りを露わにする向日。彼の言うことは尤もだ。今回の件は全てあたしが悪い。向日が怪我をしている様子がないのだけが不幸中の幸いだった。
「ごめん。」
あたしの謝罪に向日は小さく舌打ちを鳴らす。
今までこの世界の人たちの怒りを買ったことがないからか、向日の尤もな怒りに涙が膜を張る。少しでも瞬きをすると雫となって溢れてしまいそうだった。あたしが悪いのに。
「……俺も悪りぃ、折角数えてたのダメにしちまって。」
向日はバツが悪そうに頬を掻く。無言で首を振り、彼が悪くないことを示すと彼は立ち上がってボールを籠に納め出す。
個数は数えてないようだったが、とりあえずこのままだと他のレギュラー陣が部室を使用できないから、簡易的に片付けるのだろう。あたしもそれに続いた。
「あー……今回のは俺も悪かったし気にすんなよな。」
ボールを拾いながら、視線も合わせずそう謝罪する向日。彼は悪くないのに。あたしももう一度、ごめん、と呟いた。視線を合わせないまま。