Target5:他校男子テニス部
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佐伯の、否、もうあんな奴サエで十分だ。サエの背中にぶつくさ文句を言いながら付いていくと、思いの外宍戸達との距離は無かったらしく、直ぐに合流する。宍戸達は少し開けた場所に居た。
「琹ちゃん見つかって良かったC〜!」
あたしを抱きしめ涙混じりに安堵するジローちゃんは少々行き過ぎだが、他の二人も心配してくれていたようだ。一人で勝手に行動するなとか、激ダサだとか各々口にするが、言葉とは裏腹に安堵の溜息を漏らしていた事をあたしは見逃さなかった。
ごめんね、と素直に謝るとそれに対しても三者三様の反応が返ってくる。その中でも矢張り、ジローちゃんの反応は行き過ぎていた。まるで今生の別れのような反応。良かった良かったと繰り返し口にして、あたしを抱きしめる腕には彼の可愛らしい容姿からは想像がつかない程の力が込もっている。痛いを通り越してそれは少し苦しい。まるで彼とあたしが一つになる事を望んでいるようだった。
「芥川、汐原さんが苦しそうだよ。」
離してあげたら、と苦笑するサエに嫌々とあたしの首筋に顔を埋めたまま緩く首を振る事で返事をするジローちゃん。あたしが彼にかけさせた心配はどれ程の物だったのだろう。主観的な想像しか出来ないが、ジローちゃんの態度からして相当心配をさせてしまったようだ。
「あー……悪ぃな、佐伯。助かった。」
「いいよ、無事に見つかったしね。」
「サエ、本当にありがとう。」
ジローちゃんの腕の中に閉じ込められたままだから彼の顔は見る事が出来ないし、何ならサエのさっきのあの行動にはイラッと来たのも事実だが、それでも彼のお陰で宍戸達と合流できた事に変わりはない。背中を向けたままお礼を言うと、彼は少し言葉を詰まらせた。
「ッ、……よ。」
「え?ごめんもう一回言って。」
先程同様、聞き取れない程の声。けれど今は開けた場所に居る為に人口密度が先程よりも低く、周囲はそれ程煩くない。それでも聞き取れないのだから、矢張り彼の声が小さい所為なんだろう。けれど、ジローちゃんの隣に並んでいたがっくんには届いたのか、あたしの代わりにがっくんが口を開く。
お礼を言うと思ったのに。がっくんが琹は俺達のだかんな!と宣言したかと思うと、ジローちゃんが引っ付いているにも関わらずあたしの手を引いてそのまま乗り場に向かおうとする。ぐいぐいと引っ張られる腕に付いて行こうとするが、ジローちゃんが立ち止まっている為それは叶わない。
「おい、ジロー帰んぞ。汐原離してやれよ。」
「Aー!」
「汐原に嫌われたくねぇんだろ。」
まさに鶴の一声。宍戸の言葉にジローちゃんはパッと腕を離し、嫌わないでと眉を下げる。嫌いになんてなる筈がないのに。その言葉の代わりにジローちゃんの手を取った。
「じゃあ、サエまたね。……ジローちゃん、一緒に帰ろ。」
あたしの言葉にジローちゃんは笑みを浮かべたが、振り返った時に一瞬だけ見えたサエの表情は、それこそ迷子になった子供のような