Target5:他校男子テニス部
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整った顔立ちと言えば、あたしの知っている限りで、飛び抜けているのは矢張り跡部と大石だろうか。その二人に匹敵する程の美形。それなのに本人はそれを鼻にかけるでもなく、なんというか、ただ優しいのだから質が悪い。大石にも同じ事が言えるが、彼は良い人止まりな気がするからまだ救われる。目の前の彼の場合は周りの女の子が可哀想だ。序でに周りの男子も。いっその事跡部のように自分の顔の美しさを自覚して、とそこまで考えて噴き出した。
「汐原さん?」
「ごめっ、ふ、ふは、ごめん。ちょっと変な想像しちゃって。」
佐伯が、俺が美しくない訳ないじゃん、とか言ってドヤ顔するのはちょっとどころじゃなくてかなり面白い。自分の想像にひーひー言いながら目尻に溜まった涙を拭う。まだ少し、彼の顔を見ていると笑いが込み上げるけれど。
「ごめん、佐伯。あたしに何か用があったんだよね?」
「そうそう、さっき宍戸達と会ってね。汐原さんと
「嘘、ごめん。本当ごめん。」
目を見開いて謝罪するあたしに、彼は爽やかな笑みを返した。
佐伯は完全にあたしの所為で巻き込まれた人だ。彼に予定があったのか暇だったのかは知らないけど、迷惑をかけた事は間違いないのに、顔を一目見て笑うとか失礼な事極まりない。
それなのに彼は怒る事もせず、無事に見つかって良かったと笑うのだから良い人過ぎて先程とは違う涙が滲んだ。
「こっちだよ。」
彼はあたしが落ち着いたのを見計らって、先程進んで来たであろう道を戻って行く。あたしも慌ててそれに続いた。
「ねぇ、佐伯はどうしてあたしを知ってたの?」
佐伯の隣に並んでから声をかける。時折人とすれ違う為に彼の後ろに下がる事があるが、
「……、よ。」
「……え?ごめん、もう一回。」
佐伯の返事が周囲の喧騒に紛れて消える。すれ違う人を避ける為、あたしが彼の真後ろにずれたのもあるのだろう。彼の声は聞こえなかった。急に佐伯は足を止めた。
「汐原さん。」
振り向いて、じっとあたしの目と自分の瞳を合わせた。その目は僅かに細められたまま、ジリジリとあたしとの距離を詰めてくる。佐伯の左手があたしの右頬に添えられ、そのまま……。反射的に目を強く瞑ると、むにっと頬を摘まれた。
「……仕返し、なんてね。」
「な、は?!」
一気に顔の温度が上がる。ばくばくと心臓が煩い。色々と言いたい事は有ったが、混乱する頭ではどうにもまともな単語にならず、口を吐いたのは意味の分からない音だけ。それが悔しくて彼の胸を少々強く押して距離を取り、そのままじとりと睨みつけた。これだからイケメンは。あぁ、彼の胸に触れた掌が熱い。
彼はハハと爽やかな声を上げた。