Target1:氷帝学園男子テニス部
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「……汐原。」
滝との静かな攻防を続ける中、その沈黙を切り裂くように呼ばれたあたしの名前。その跡部の行動に察したのか、指示が出される前に動いた樺地から差し出された段ボールには氷帝男子テニス部のジャージが入っていた。
「ありがとう。」
早速、袋から出して身体に当ててみる。サイズは大丈夫そうだ。制服の時も思ったが、何であたしのサイズを跡部が知ってるんだ。そう思った端から跡部の
「……あれ?なんで汐原さんのジャージはライン八本なの?」
少し遠い目をしたあたしの手元を滝が覗き込んで声を上げる。その言葉に倣ってラインの数を数えると、確かに皆のジャージより一本多い八本だった。
「汐原。ジャージのラインの意味は知っているか?」
突然の跡部からの質問。それは、漫画を読み込んでいたあたしにとって愚問とも言えるものだった。ラインが七本なのは、正レギュラーの数だから。実力主義の氷帝らしいなと胸が熱くなったのを覚えている。滝も跡部のその言葉に、八本目のラインの意味を察したのか、成る程といったように頷く。
はっきりとは跡部も口にしなかったけれど。八本目のラインの意味するものは、きっと、あたしだ。
偶数本になったが為に多少バランスの悪くなったジャージを胸に抱きしめたまま破顔すると、それに釣られたように二人も笑った。滝の笑顔も先程の作ったようなものとは違い、花が綻ぶような優しい笑みだった。
「滝のその顔は好きだよ。」
笑みを浮かべたままの滝に率直な感想を告げると、彼は少し首を傾げた。本人は先程の笑顔との違いが分かっていないらしい。それなら、と言葉を続ける。
「滝だって、作った笑顔より自然な笑顔の方が好きでしょう?あたしだってそうだよ。」
滝には自然に笑って欲しいと、付け足すと彼は口元を手で隠してしまった。逸らされた視線、朝の忍足同様さらりと流れる髪から覗く
それを見て、じとっと不満気な視線を向ける滝は、その綺麗な顔立ちを隠すように俯いて口を開いた。
「……俺だって、汐原さんのその顔は……好きだよ。」
そのまま滝は逃げるように教室へと向かってしまったが、あたしと跡部達は暫くそのまま笑っていた。