Target1:氷帝学園男子テニス部
name input
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
反射的に下ろした瞼を持ち上げる。
一瞬の風をやり過ごして昌山に紙飛行機の行方を聞こうと視線を向けた。
……は?
なんで。
確かにそこに居たのに。昌山の姿が無い。ぐるり、と辺りを見渡しても先程と一寸の違いも無い埃だらけの屋上が広がっていた。昌山の姿だけが消えている。なんで。
「……嘘でしょ?」
なんで、どうして。
慌てて立ち上がり、扉を抜けて階段を駆け下りる。
目を伏せたその一瞬で先に帰られたのだ、とあり得ないスピードだけどそれしか考えられない。だったらそれを追う。一人でここに居ても仕方ないし。
息が上がる、足がもつれる。それでも。
人が消えるわけがない。だから絶対に先に帰っている筈。
駆け下りて、駆け下りて、後、一階。
その瞬間に身体のコントロールを失った。
踏み外した、と気づいた時には既に重力に倣って身体が落ちていた。後はもう、地面に叩きつけられるのを待つだけだ、と反射的に頭を庇い、目を強く閉じる。
「危ねえ!!!」
果たして、予想と反して衝撃は襲ってこなかった。
ドスン、と鈍い音から一拍置いて、恐る恐る目を開ける。視線に入ったのはクリーム色のジャケットと何処かで見たようなエンブレムだった。
まさか、まさか。
勢いをつけて上体を起こすと、絶対に出会うはずのない人達がそこに居た。
「……あと、べ……?」
戸惑いが頭を逡巡する。
でも、だって。彼らは。
漫画の中の登場人物じゃないか。
あぁ、そうか、コスプレイヤーか。そうだ、きっとそうだ。クオリティー高いな、イケメンだわ。いつからうちの学校はコスプレイベントを開催するようになったんですか。
「……なんで自分、跡部のこと知っとるん?」
あぁ、声までそっくりですね、忍足レイヤーさん。
中学生とは思えない低音ボイス。そんなだから耳が孕むとか言われるんですよ。ハハハ、んなアホな。声や口調までそっくりだなんて、そんなの、もう本人じゃないか。
現実を確かめるように自分目を擦るが目の前の景色は変わらない。
"テニスの王子様のキャラクターに会いたい"
あたしの紙飛行機に乗せた願い事だった。
だってさ、あたし達は七不思議を検証してた訳で。そうなったら小さな事だと本当に七不思議のお陰で叶ったかなんて分かんないじゃん?
例えば〇〇くんと両思いになりたい、とか、××が欲しいとか。〇〇くんに告白された所で元々両思いだったかもしれないし、偶々お小遣いが溜まって××が手に入っただけかもしれない。
だから絶対に叶いっこない願いにしたのに。
まぁ、半分くらいは"もしも"に掛けてはいたけれど。
「それは、ほら、君は色々と有名だから、さ。」
とりあえず立ち上がり忍足の疑問にそう答えおいた。長々と下敷きにしてごめんな、宍戸くんや。