Target5:他校男子テニス部
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「……それで、あたしはなんで呼ばれたの。」
不二が淹れてくれた紅茶を口に含んで、不満と混ぜて一緒に飲み込む。ちらりと隣に座る裕太を見やると気まずさで肩を竦めた。
「裕太を紹介したくて。」
「それなら外で良かったんじゃないの……。せめてリビングとか。」
どうして裕太に会わせたかったのかは知らないが、少なくとも彼との初対面が不二の私室でなければ先程のような無意味な勘違いは起こらなかったのだ。あたしが無駄に疲れることも。
「あぁ、それは。もうすぐ姉さんが帰って来るんだ。」
くらり、と頭が重くなってテーブルに肘をついたままの掌を額に当てる。だから、何故、そんな大切な事を唐突に言うんだ。
「……今からケーキでも買って来たら間に合うかな。」
「気にしなくてもいいのに。」
「普通は気にするよ……。」
項垂れたままのあたしを見て、流石に不二も反省したのか少しばかり困った声を上げる。
「……ごめんね、素直に家に呼んでも来てくれないと思って。」
その言葉に顔を上げると、不二は両手で紅茶のカップを持って、眉を下げていた。成る程、彼が強引なまでにあたしの逃げ道を奪っていたのはそういう事か。彼に会う約束を取り付けられた時点で、こうなる事は確定だったのだ。
「普通に誘ってくれれば来るから。だから頼むから事前に教えて。……裕太、くんも巻き込んでごめんね。」
裕太の事をどう呼ぶか、少し迷って結局くんを付けた。仕方が無い。名字で呼ぶには、彼らは兄弟で名字が一緒なのだから。裕太を呼び捨てにするのは失礼で、敬称で区別するにはあたしの年齢は微妙すぎた。リョーマやブンちゃんで散々やらかしといてなんだが、否、やらかしたから彼等の呼び方には細心の注意を払っている。
「いや俺も、変な誤解してすみませんでした。」
「誤解と言えば、裕太はどうして汐原さんをボクの恋人だと思ったの?」
「兄貴が紹介したい人がいるって言ったんだろ!」
裕太の頬は折角落ち着いていたのに、また赤く染まる。羞恥なんだろう。けれど、今回のは不二の言い方が悪い気がする。確かに嘘は言っていないし、間違ってもいないが、そんな言われ方をした後に自室に女の子を連れ込んでたら恋人を紹介されるのだと思ってしまう。あたしが彼のベッドに顔を埋めてた所為で、彼は更に先の想像までしていたようだが。
不二が困ったように首を傾げる。そこは天然だったのか、と溜息が溢れた。