Target5:他校男子テニス部
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目を丸くして言葉を失う千石を横目に、スマホの検索アプリを立ち上げる。千石の誕生日はいつだったか。
「千石の誕生日っていつだっけ。」
「十一月二十五日だけど……。」
「じゃあ射手座か。」
検索欄に射手座とラッキーカラーの単語を入力して検索ボタンに指を置く。果たして検索欄にはいくつか様々な結果が出てきたが、親指を上下に走らせると説明欄の"不二由美子先生"という文字が目に入って、直感的にタッチした。表示された文字の羅列を読み進めると、ビンゴ。そこには射手座のラッキーカラーが赤である事が書かれていた。
「ほら、当たり。」
その画面を千石に向けて笑ってみせると、千石は見開いたままの瞼を下ろし、ゆっくりと一度瞬きをした。
「……琹ちゃんって、俺の事知ってたりする?」
「ん?……あぁ、あたし氷帝学園の男子テニス部のマネージャーしてるからね。ジュニア選抜に選ばれた選手くらいは知ってるよ。」
本当の事。テニス部のマネージャーとして有名選手くらいは勉強した。けれど、彼の占い好きや女好きは、以前から持っていた知識だった。がっくんに同じ事をしたら怒られそうだし、あたしとしても積極的に以前の知識に頼るつもりはない。けれど今は話題に困ってしまって、ついそれを口にしてしまったのだ。
千石は反応を見せない。もしかして、この話題はまずかっただろうか。漫画での描写では隠している節は見られなかったが、もしかしたら伏せていた情報なのかもしれない。突っ込まれたら言い訳できない。
「え、と……千石……?」
どうしよう、失敗したかも。何か他の話題は無いだろうか。それとも大人しく立ち去るべきだろうか。けれど、無言で立ち去るのは失礼だろう。最低でも挨拶くらいはしなければ。
「ふ、ははは……っ!」
「……え?」
「琹ちゃんは可愛いね。俺、ラッキーだよ!」
急に笑い声を上げたかと思うと、目尻に溜まった涙を拭いながらあたしの予想の斜め上を行く言葉を紡ぐ。明らかに戸惑っているあたしを見て可愛いなんて言われても、それは明らかに誉め言葉では無いだろう。
事実、彼は笑い過ぎで涙まで流しているのだから、揶揄っているのは明らかだ。羞恥で言葉を失ったあたしは何も考えずに席を立つ。頬が熱い。
もう行く、と口にした時には、待ち合わせ場所に歩み寄る不二の姿があった。