Target5:他校男子テニス部
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「助けてくれてありがとう。」
素直にお礼を言って頭を下げる。千石としても、あたしを助けるという目的を達成しているのだからもう用は無いだろう。そのまま場所を変えて待ち合わせ相手である不二を待とうとしたのに、それは千石に引き止められる。
「ね、キミの名前は?」
「え。」
頭を上げて絶句。この短い間に言葉を詰まらせるのは二度目だ。彼の言動は色々と予想外過ぎる。
あたしの言葉を拒絶と受け取ったのか、千石は少し困ったように笑う。ハの字に下がった眉を見ているとこちらが申し訳なくなった。あたしは助けてもらった立場なのに。
「汐原琹。……助けてくれて、ありがとう。」
「うんうん、琹ちゃんね!俺は千石清純。よろしく!」
彼はあたしの言葉に表情を一転させる。ハの字だった眉は持ち上がり、ゆるく弧を描いた。パッと一瞬で表情を変える千石は、きっと同じような手で何人もの女の子から名前を聞いてきたのだろう。さらっと違和感無く名前呼びをしてくる辺りに女性慣れしている節が見えて、今度はこちらの眉が下がった。トラブルはごめんだ。
「これからどうする?本当にデートしちゃう?」
「いや、あたし、人と待ち合わせしてるんだってば。」
「そっか、残念。」
あぁ、まただ。またその顔。
眉をハの字に下げて、高い位置にある筈の視線を下げて気持ち上目がちにこちらを見上げる。どうしてもダメ?と声に出すでもなく、表情だけで訴えてくるのだから質が悪い。思わずこちらが悪い事をしているような気分になる。何も悪くないのに。
「……一緒に待ってくれるなら、話くらいには付き合うけど。」
「勿論、待つ待つ!俺ってば超ラッキー!」
罪悪感に中てられて千石のお願いを呑んでしまう。あぁでも、また誰かに声をかけられるよりは彼と一緒にいた方が良い。彼はその手の対応も得意そうだ。
あたし達は待ち合わせ場所から程近いベンチに並んで腰をかけた。何か話題を、と探して彼を頭から爪先まで視線でなぞると少々強引なまでの赤色が目に留まる。派手な色のTシャツは彼に似合っていないわけではないが、千石の髪色からすると合わせにくい色のように思えてしまって少し違和感を感じた。決してセンスが悪い訳ではないが。
「ねぇ千石。もしかして今日のラッキーカラー、赤だったりする?」
「……え?」