Target5:他校男子テニス部
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ぼーっと立ち尽くしたまま、普段使う駅とは少しだけ違う景色を眺める。暇つぶしに思い出すのは、先日のレギュラー対準レギュラーの総当たり戦だった。
宍戸がレギュラーに復帰した翌日、跡部の宣言通りに行われた試合。八人のレギュラーに対し人数の多い準レギュラーだが、一人としてレギュラーから
一人で思案していたあたしの頬をむわっと生暖かい風が掠めるのを感じて、眉を顰める。現実に戻された思考にあの人はまだ来ないのかと一人ごちた。当たり前と言えば当たり前なのだ。今は待ち合わせの三十分も前なのだから。あたしが早く来たのだから、待たされる事に文句は言えない。
「君、一人?俺と遊ばね?」
急に近くで発せられた声に顔を上げる。目の前にチャラついた男が一人。高校生くらいだろうか。あたしより少し年上のように見える。
キョロキョロ周囲を見渡すが、彼の指す君に充たる人物はあたししか見当たらない。所謂、ナンパだ。
ナンパされるとは思わなかった。いつもあの美形の中に紛れているあたしは、妬みの視線こそ注がれてもこういう視線には慣れていない。勿論対処の仕方も分かるわけもなく、小さく拒絶の声を上げた。
「……あの、私人と待ち合わせしてまして。」
「でもさっきから見てるけど、誰も来ねーじゃん。すっぽかされたんじゃね?」
そんな事は無い、と声を張り上げかけるが
「ごめんね、待ったー?」
思いが通じたのかと顔を上げた瞬間、絶句。待っていた人とは違う男。どうして彼が。
「この子、今から俺とデートだから諦めて?」
その男が言うが早いか、男はチッと一つ舌を鳴らして雑踏へと消えて行った。
オレンジ色の髪。あたしはその前髪の一部がくるっとした、鳩のような髪が大好きだった。けれど目的の人物と合流出来ていない上に、男に絡まれているという事実は変わらない。
あぁ今日は厄日か、と溜息を吐くと幸せが逃げると笑われる。ちらりと時計を見ると待ち合わせまで、あと二十分といった所だ。