Target4:傍観少女
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「どっちとも付き合ってないよ。……ただ、二人とも好きなだけ。」
無愛想に唇を尖らせて呟く様は、私を良く思っていない事が明らかだった。まぁ私が声をかけたのは侑士の情報が欲しくて話しかけた時だけだから仕方ない。あの時も汐原は不愉快とばかりに私を避けていた。
私は別に侑士だけが好きな訳ではない。ただ、侑士の情報が欲しかった。傍観夢の王道は、逆ハー狙いに不信感を抱いたキャラから綻び、崩れていくのが殆どだ。それは氷帝が舞台の場合、大体が侑士か、若。だから侑士が汐原の事をどう思っているのかが知りたかった。けれど汐原は侑士の話題になると知らないの一点張りで、すぐに他の話題に変えてしまう。本当に知らないのか、ただ誤魔化しているのか。転入してきたばかりの時はどちらか判断が付かなかったが、今は確実に後者だった。
だから皮肉をたっぷり込めて言ってやった。
「琹ちゃん、テニス部の事大好きだもんね!」
平凡気取りの逆ハー狙い。そうでしょ?どうせ補正が無くなればその立場はすぐに私の物になる。だから精々楽しんでおけばいい。
そんな皮肉をそれはもう、たっぷりと溢れ落ちる程塗りたくってやったのに、汐原はこの言葉に感動したと言わんばかりに目を見開いて涙を滲ませる。これは流石に予想外だ。
挙げ句の果てには名前で呼んでいいか、なんて。あぁ、やめて。私の名前はアンタに呼ばれる為のものじゃないの。でも私も名前で呼んでいるんだからここで拒絶するのは不自然だろう。仕方ない。
まぁいい。こうして逆ハー狙いに近づいて、二人してマネージャーをするのもよくある流れ。レギュラー陣にマネージャーを頼まれるくらい親しくなるのは一年では足りなかったから。汐原が懐くのなら利用してやればいい。
「でも琹ちゃん、ここだけの話、いじめとか大丈夫?氷帝にはファンクラブは無いみたいだけど。」
「それ、跡部達にも聞かれたんだけどね。大丈夫だよ、今の所は。……ところでファンクラブって何?」
「それなら良かった。ファンクラブはね、ほら、テニス部って他校もイケメン揃いでしょ?お互いの牽制の為にファンクラブを作ってる所も有るんだって。そんで、マネージャーが嫉妬されていじめられたりとかもあるみたい。」
まぁ全部夢小説での話だけど。と少し馬鹿らしくなって肩を竦める。それにしても汐原との会話も飽きてきた。欠伸を噛み殺すとじわりと涙の膜が張る。あぁ、いけない。汐原にバレないようにしなければ。
それにしても汐原は知識が無いのだろうか。ファンクラブはどのジャンルでも大体存在していたのに。それはそれで都合がいい。
まずはそう、私をマネージャーにしてもらわないと。