Target3:立海大付属中男子テニス部
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此方を覗き込む赤也に、ひらりと手を振って立ち上がる。もう大分息も整った。ほぅと最後に大きな深呼吸をして自分のお尻を叩く。帽子を深く被り直して、きょろきょろと昌山を探すが見当たらない。先程赤也が、昌山があたしを探しているって言ってたから近くにいる筈なんだけど。
「赤也、昌山何処にいるの。」
「あぁ、それならそこにいるっすよ。」
赤也が指差す先、自分の背中を振り返ろうとして、唐突に両肩に乗せられた手にびくりと心臓が跳ねた。ばくばくと落ち着いた筈の心臓が、今度は驚愕から鼓動を速める。ひぇっ?!と口から溢れた悲鳴が余りにも可愛げがない物だったのは気がついてないフリをした。
「おっまえ、色気無さすぎだろ。」
けれどそれは手を叩きながら笑う昌山によって容赦無く暴かれてしまう。あたしは苛つきを隠す事もせず、彼の頬に手を伸ばした。人差し指と親指で意外と柔らかい昌山の頬を摘む。それから、滝やちょたにした時のように手加減をするわけも無く、容赦無く力を込めた。
「いひぇー!!いひゃいいひゃい、ぎぶ!!」
声を上げながらじわりと涙を浮かべる昌山に、今度は此方が大声を上げて笑ってやる。それに今度は昌山がムカッときたのか、仕返しとばかりにあたしの両頬が摘まれた。勿論容赦なんて物は無い。意地でも声を上げてやるものか、と痛みを堪えて下唇を噛むと、仕上げとばかりにぴっと勢いをつけて頬から昌山の手が外される。それが一番痛いと分かってやっているだろ、と思いながら、あたしも勿論仕返しとばかりに同じように手を離してやった。いてっと昌山が小さく声を上げる。あたしは勝ち誇ったように仰け反った。
「本当に昌山さんと琹さんって仲良いんスね。」
「え、何、俺の一方的なモンだと思ってた?」
どんだけ俺可哀想な奴だよ、と昌山が不満気な声を上げたが、そんな声を出させた赤也の声もまた、不満が滲んでいた。真田が呆れたように溜息を漏らす。その気持ちは分からなくもない。
「で?何であたしこんな格好で呼ばれたの。」
赤也と共に頬を膨らませて睨めっこを始めた昌山に声を掛ける。男子三人に囲まれている所為で余計に男女差のある体格が誇張されているが、逆に三人が壁になってあたしの姿が隠されているのか、これ程騒いでいても不審な視線は向けられていない。だがそれも時間の問題だろう。赤也と真田をここに留まらせている所為で、テニス部員からの視線が徐々に集まってきている。柳辺りが気がつくのも時間の問題だった。