Target2:転生少女
name input
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
肩を揺すられる感覚がする。あぁ、なんだか寒い。瞼が重い。けれど微かに耳を掠める言葉が何処か甘美で。もう少しこのまま聞いていたいのに。
「……ちゃん!里ちゃん!!」
だんだん大きくなる脳内に響く声に従ってゆるりと瞼を持ち上げた。ぱちぱちと数回瞬きを繰り返して焦点を合わせる。重い頭でこの昼寝を妨げた人物を確認しなきゃと視線を持ち上げるとそこに居たのは大石だった。ぱちりと合った視線に大石は安心したように溜息を吐く。
「……ど、うして、ここに。」
夢かと思い無意識に自身の頬を抓る。その頬は濡れていた。どうして。涙はとっくに枯れた筈。混乱したままきょろきょろと視線を
「部屋に行っても里ちゃんが居なかったから探してたんだよ。」
「私を……ですか?すみません、何か用がありましたか?」
大石からマネージャー業の指示が出される事も何度かあった。彼は副部長だから、手塚や竜崎先生からの指示を伝言として伝えてくれることが何度か。だから今回もそうなのだろうと。伝言の為に探させてしまったのなら申し訳ない。そう思って謝罪をしたのに、大石は違うとばかりに緩く首を振る。困ったように眉をひそめた。
「早く中に入ろう。風邪をひいてしまう。」
「あ……はい。」
促されて大人しくそれに従う。木陰から出て始めて、この雨が土砂降りと言えるほどの大雨だったことに気がついた。どうして私を探してくれたんですか、と目の前の大石の背中に問いかけようとして、止めた。その意味を知るのが怖かった。
一列で小道を歩き館内へと戻る。短い小道での会話は無かった。ずぶ濡れになったスリッパが土砂でぐすぐすに
少し歩いて屋内へと続くガラス戸を大石が引くと、その足元には綺麗に揃えられたスリッパが一組置いてある。彼はここで外履きに履き替えたようだった。
けれど私はスリッパのままで外にいた。当たり前だがスリッパはドロドロでこのまま歩くと廊下が汚れてしまう。素肌まで届く程水分を含んだ靴下では、スリッパを脱いでも大して被害は変わらないだろうと予測ができる。
「……里ちゃん?……あぁ、少し待っていて。」
もだもだといつまでも中に入らない私に気がついたのか、不思議そうに大石が首を傾げるが、すぐに私の足元に気がついたようで彼はスマホの操作を始める。誰かにタオルと代わりのスリッパを頼むのだろう。その誰かにも大石にも、迷惑をかけたという事実がじくじくと痛んだ。