Target2:転生少女
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誰も来ない。私が仕事を放棄したところで、誰も心配なんて、しない。
そんなこととっくに分かっていたのに、いざ実際に体験するとじりじりと胸が焼けるように痛かった。
休憩終了のアラームが鳴ってからどのくらい経っただろうか。もう涙も枯れてしまった。それでも先生からお叱りを受けることもなく、誰かが呼びに来ることもない。虚しい。
徐に立ち上がり部屋から出る。練習中のこの時間、当たり前のように廊下には誰もいない。流石にコートには戻る気になれず、とりあえず行き先も決めないままに足を運んだ。誰か、私を見つけて。なんて、馬鹿みたいな思考で埋まっていた。
館内を歩いていると裏口だろうか、ガラス戸を見つけて外へ出る。屋内で過ごす用のスリッパで踏みしめた砂利は、スリッパの薄い靴底に紛れ込みチクチクと足の裏を刺した。痛い、痛い。けれど何処が痛いかなんてもう分からない。
裏口から外に出ると、本当にちょっとしたスペースなのだろう。人が一人歩ける程度の小道と、生い茂る木々。そしてその木の足元にはベンチが置いてあった。そのベンチに腰を下ろし、スリッパを脱いで紛れ込んだ砂を追い出す。再度足を差し込むと幾分か痛みは
「皆はまだ、練習中かな……。」
コートとは建物を挟んで反対側にあるこのスペースには、歓声も掛け声も届いては来ない。数十人が存在している建物とは思えない程に、しん、と静まり返っている。気持ちを落ち着かせる場所としては最適な場所だ。
すん、と一つ深呼吸をする。
あの子は、琹は、このままじゃいけないと言った。私もそう思う。このままでは、いけない。
あの子がどうして"漫画"であるここに居るのか、行方不明になってからどうしていたのか。はっきりさせておきたい。
無駄に経験豊富な知識を持って生まれ変わった私は、所謂ジェネレーションギャップに悩んでいた。心身こそ未成熟ながら、知識は異常な程に成熟していて。そこを買われて青学のレギュラー陣に良くしてもらっている節はあるが、いかんせん、彼らもまた、中学生なのだ。大人びていても落ち着いていても、何処が隔たりがあるのも事実だった。新しく得た知識に目を輝かせることのできない私は、彼らからすればつまらない女なのだろう。自覚はあった。
けれど声を上げてはしゃげば、それもまたわざとらしくてあざといと避けられる。今回の人生も、うまくいかない。
「なんか全部、面倒くさいなぁ……。」
泣き腫らした瞼が重い。乾いた瞳を覆うように瞼が落ちてきて睡魔が思考を支配する。
このまま睡魔に身を任せて次に瞼を上げた時には、全部終わっていればいいのに。全部解決していればいいのに。
今の私には、どんよりと曇ってきた空に気がつく余裕なんて無かった。