Target3:立海大付属中男子テニス部
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あたしの視界を塞ぐ手を強引に離す。拒絶の言葉や緩い力での抵抗は意味を成さない事をあたしは学んだのだ。
果たして自由になった視界に入ったのは、耳朶を赤く染める銀髪の……多分仁王の姿。それに釣られてあたしの頬も熱くなる。幸村といい仁王といい、もうこれ以上赤くなる事は無いだろうというくらい、頬が熱かった。
「汐原モテモテだな、良かったじゃん。」
「うっさい、黙って!」
ひっでぇ、と口にするのは昌山しかあり得ないから遠慮なく八つ当たりする。心臓が痛い程に主張する。熱い頬を冷まそうと掌でパタパタと顔を仰ぐが、熱が引く訳もない。それでも幸村の方にも仁王の方にも視線を向ける事が出来ないあたしは太ももに落とした自身の指先に視線を落とすしかなく、誤魔化すようにパタパタと仰ぎ続けた。
「成る程、お前も照れたりするのだな。」
そんなあたしの耳に柳の冷静な言葉が入ってくる。視線を向けるでもなく、ノートに何やら書き込んでいるのは明らかだった。あたしは耐えきれずに席を立つ。此処にこれ以上滞在するのは得策じゃない気がした。
「……帰る!!」
居た堪れない空気に周りを気遣う余裕も無く、ただ自己の要望に従って病室の扉を開ける。扉の側に立っていた真田を押し退けた事すら気付かず、あたしは廊下を早歩きで進んだ。
「汐原、ちょっと待てって。」
同じく、マナーとして走ってはいないが、辛うじて早歩きだろうと言える速度で昌山が追って来た。何、と未だ熱い頬で振り向くと、昌山は再度笑い声を上げる。これだからコイツは。
「お前、次の休みいつ?」
「休み?土曜日だけど。」
「いや、平日は?」
へいじつ、と何故か脳内処理が追い付かず、一拍おいて、あぁ、と言葉を溢した。
「水曜日だけど。」
「おー、じゃあ来週も立海来るよな。ほら、これ立海の制服。これ着てから来いよ!」
そう言って紙袋をあたしに押し付け、昌山は幸村の病室に戻って行く。どうして立海の制服を着る必要があるのか、と紙袋を覗くと有ろう事か男子制服だった。というか拒否権くらい用意しろ、と思いもするが昌山らしいと言えばらしいので今日は大人しく帰る事にする。
(男子制服なんか着せて何がしたいんだ……。)
呆れた溜息が口を吐いたが、その口角は楽しげに上がっていた。