Target3:立海大付属中男子テニス部
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ぱちん、と小気味良い音を立てた少しヒリヒリする掌を下げると、昌山があたしの頭から足先までを視線でなぞる。氷帝学園中等部の制服、クリーム色のジャケットにチェックのスカート。特段変わった格好ではないが。
「お前なんで、立海の制服じゃねぇの?」
聞いた瞬間、一拍も呼吸を置かず昌山の頭を叩いた。何を言い出すんだ、コイツは。
「あたしは東京の氷帝に通ってんの。立海の制服着てるわけないでしょ。」
「え?マジで言ってんの?」
キョトン、と目を見開いて信じられないとばかりにわなわなと唇を震わせる。昌山はあたしが立海生である事を微塵も疑っていなかったみたいだった。
「なら昌山が氷帝に来たらいいじゃん。」
神奈川と東京。近いようで遠い距離を引っ越すのは容易ではないし、跡部の名を多少なりとも背負っている以上、氷帝から出る訳にもいかない。そしてそれは、昌山も同じだろう。
一中学生が保護者の同意も無く、勝手に引っ越しや転校の手続きなんて出来る訳がない。昌山がどうやって立海への編入手続きをしたのかは分からないが、再度氷帝に編入するのは難しいだろう。お互いにそれが分かっていて駄々を捏ねていた。
「あぁ、そういえば。昌山、これ。」
難しい手続きといえば。ふと思い出してスカートのポケットから手探りで取り出したスマホを差し出した。勿論先程落としたあたし自身のものではない。
「無いと困るでしょ。……後で昌山名義の契約に変えてもらうけど。」
「サンキュ!」
昌山は表情を一転して輝かせた。
新品のスマホは跡部に頼んで新しく契約してもらったものだった。勿論昌山に宣言したとおり、後程昌山名義の契約に変えてもらうが。
あたしと同じ方法でこの世界に来た昌山も、恐らく連絡手段を持っていないと考えたのは、仁王が昌山の連絡先を教えてくれなかったからだった。昌山と会わせてやると言えど、別に昌山とあたしは初対面ではない。仁王が昌山の連絡先を知っているのならそれを教えてくれれば、後はあたし達二人で遣り取りをして日程を摺り合せればいいのだ。
けれど仁王は態々あたし達の間に入ってくれた。それは昌山が連絡手段を持っていないからだろう。案の定その考えは正しかったようだ。
「二人でいちゃつくんはいいが、そろそろ行かんと面会時間が終わるぜよ。」
仁王の声に、昌山が手にしたままのスマホで時間を確認する。やべっと声を上げてそのまま走り出した。