Target3:立海大付属中男子テニス部
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氷帝では、毎週水曜日は部活が休みになっている。普段なら部活が休みだとしても、自主練習をする部員に付き合ったり、忍足宅でテニスのルールとかマネージャーとして必要な知識を教えてもらったりするのだけど、今日は先日の仁王と赤也との約束のため立海大附属中を目指していた。勿論スマホで地図アプリを立ち上げて。
余談だが、地図アプリに立海大附属中の名称を入力し、目的地へのルート案内設定が澱みなく出来た時には思わず感動したものである。自分の世界ではあり得ない事が、こちらでは当たり前のようで。
嬉しさから二、三度同じ事を繰り返して、漸くあたしはルート案内に沿って道を進み始めた。時折交差点で足を止めて、どちらに進むべきか確認する。キョロキョロとスマホの画面を睨みつけては、ラグのせいで進行方向が上手く掴めず二、三歩進んでは方向転換してを繰り返していた。
(んー……?右……?いや、左か。)
やっと道が分かった、と一歩踏み出すと、どん、と誰かにぶつかり衝撃で手にしていたスマホがカラカラと地面に落ちた。
「すみません!」
反射的に相手を確認するよりも先に、軽く頭を下げて謝罪を口にする。それに返ってきたのは、同じく謝罪と、あたしの名前だった。
「こちらもすみませんでした。少し考え事をしておりまして。汐原さん、お怪我はありませんか?」
そこで初めてぶつかった相手を確認しようと顔を上げる。意外と明るい色の髪色に、光を反射する眼鏡。深緑のジャケットを身に纏うのは、柳生だった。どうして彼がここに。
「大丈夫。ところでどうして柳生がここに?」
ここは神奈川なのだから、彼が居る事自体は不思議ではない。たけど、今は放課後で、彼はテニス部員なのだ。部活中ではないのか。
彼は戸惑いの声を上げるあたしの横に屈み、スマホを拾い上げて、手の甲で画面を払うとあたしに差し出してくれる。素直に受け取ろうと彼に腕を伸ばした、瞬間。
「遅かったのぅ。」
「……ぅえ?!」
伸ばした手を掴まれ、力強く引かれる。当たり前のように目の前の彼の胸に飛び込んだ。まさか、まさか。
「に、おう……?」
ばくばくと驚愕から高鳴る心臓を落ち着かせるように深呼吸する。ほうっと息を吐いて彼の胸を押した。離してとアピールしたつもりだったが、彼は離してはくれなかった。