Target3:立海大付属中男子テニス部
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オリエンテーションが始まるまであと少し時間があったから、何か飲み物でも買って来るかと席を立ち廊下に出る。一つ角を曲がれば直ぐそこに自動販売機が有った筈。そこを目指して足を向けると、角から人影が飛び出してくる。
「おっ……と。」
ぶつからないように避けると、相手は止まり切れなかったのか身体を廊下に打ち付けた。
痛い、と小さく声を上げるソイツは水色のユニフォームを身に纏った……あぁ、そうだ、汐原琹だ。取り敢えず肩を摩る汐原に手を差し出すが、同時に先程の光景がリフレインして笑い声を上げる。止まれなかったと言えど、あんなに派手に転ぶヤツがいるものか、と。
俺の笑い声に頬を赤く染めながら、無遠慮に手を取る仕草は確かに赤也が気に入るのもよく分かる。
「……で、お前右肩に湿布とか貼っといた方がいいんじゃね?医務室行くか?」
ひとしきり笑って、俺は口を開いた。湿布貼るくらいの手当てはしといた方が良いだろう。俺の提案に頷きながらも考え込むように俯く汐原は、少ししてあっ、と小さく声を上げた。
「湿布……持ってる。ジャッカルに貰ったヤツ。」
あぁ、そういえば。赤也と一緒に手当てしてやると医務室に呼んだ時にジャッカルに貰ってたっけ。結局、予備を貰ってった理由は分からなかったが、今回は役に立ったみたいだった。
「んじゃ、それ貼っとけ。」
「うん、そうする。」
じゃあ食堂に向かうから、と汐原が足を進めようとしたから進路を譲ってやる。俺も急いで自動販売機に向かおうとして、それは叶わなかった。
「い……っ?!」
汐原が小さく悲鳴を上げたから。先程打ち付けた右腕を誰かが引いたらしい。それは流石に可哀想だろうと、汐原の手首を掴む手を、手首から肘、肘から肩へと視線でなぞる。顔まで向けてばちりと目が合った。
「し、しど、痛い。」
汐原は痛い、と口にしながらも離してとは言わない。
言えばいいだろ。赤也にはよく言ってたんだし。
「汐原痛がってんだろ。離してやれば?」
俺の言葉に腕の持ち主、宍戸はハッと我に返ったように汐原を解放する。悪い、と罰が悪そうに頬を掻いた。
(おいおい、俺には何も無しかよ。)
あんなに敵意剥き出しの視線を送っといて。
はぁ、と口を吐いた溜息は呆れからだった。というか、何で汐原はコイツの事を拒否んねぇんだよ。
その事になんかムカついて汐原の左腕を取る。そのまま少し強引に引いて、此方に寄ってきた汐原の身体を抱きとめると宍戸の目つきが鋭くなった。少しだけ気も良くなる。
「俺とコイツは医務室に寄ってくから遅れてくわ。伝えといてくんね?」
「え!?ちょっとブンちゃん、あたし湿布持ってるって!」
汐原の声も宍戸の返事も、全部無視して俺は医務室として割り当てられた部屋に向かった。