Target3:立海大付属中男子テニス部
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そっと出来るだけ音を立てなように扉を開けて食堂内に入る。入り口から少し入ったところに空いていた席を見つけてそこに座った。
一瞬宍戸と目が合ったから、顔の前で掌を合わせてごめん、と伝える。彼はふいっと視線を逸らしてしまった。
そんなあたし達のやり取りを見ていたのだろう。ブンちゃんがあたしの両肩をポンっと励ますように軽く叩き、そのまま立海の方へと忍び足で向かって行った。何とも気遣いが出来る人である。
後でもう一度宍戸には謝っておく事にしよう。そして、可能であればブンちゃんの言っていた"あんな顔"についても聞いてみることにしよう。
ただ、今は。オリエンテーションの真っ最中だ。先生の方へ耳を傾けなければ。長々とした榊先生を初めとした監督陣の話を聞き流していると、宍戸の直ぐ後ろでウトウトと微睡んでいるジローちゃんの姿が視界に入る。相変わらずだなぁ、と呆れつつも彼の気持ちも分かってしまうのだから、あたしも大概だ。
ジローちゃんを起こそうと、そっと手を伸ばした。人と人の隙間を縫って、人差し指の先に少しだけ触れるジローちゃんのジャージをくんくんと軽く引く。この程度で起きてはくれないだろう。彼が一瞬此方を向いてくれればそれでいい。彼はあたしが起きている時は、頑張って起きようとしてくれる。あたしと同じでありたいから、と。
果たして彼に効果は見られなかった。目を覚ます事はおろか、此方を向いてくれる事もない。
どうしよう、と考えて、とりあえずもう一度とくんくんと彼のジャージを引くと、それにジローちゃんではなく、彼の真後ろ……あたしの隣に座っていた滝が気がついて代わりにジローちゃんの肩を揺すってくれた。
流石にそれには目が覚めたのだろう、キョロキョロと顔を左右に動かして辺りを見渡す。右後ろを向いた時、あたしの姿を捉えたのだろう。彼は眠そうな瞳から一転、キラキラと目を輝かせた。
少々露骨な彼の態度に呆れもするが、好かれるのは悪い気はしない。口元だけで起きて、と告げて人差し指で前に立っている榊先生を指差すと彼は素直に従って前を向く。ほっと胸を撫で下ろして、今度は隣の滝にそっとお礼を告げる。彼はやるねーと返してくれた。
「今回の合宿で身につけた物を、これから始まる大会でも生かして欲しい。それではこれで合同合宿を終了する。……解散!」
榊先生のその言葉にあぁ、やっと終わった、と身体を伸ばす。結局試合の結果も分からなかったな、と考えて、忘れかけていた罪悪感に気づいてしまった。あぁ、もう。自分の意思で日吉の事を書かないと決めたのだから、責任を持ってこの感情にケジメを付けないといけないのに。
「ねぇ。」
宍戸に謝りに行く序でに荷物を受け取ろうと席を立つと、大分人数減った中から誰かに呼び止められた。