Target3:立海大付属中男子テニス部
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二人して立ち上がると、宍戸があたしの荷物をも攫っていく。慌ててスコートの裾を払い、自分の荷物を受け取ろうと声をかけるが宍戸は聞いてくれない。
「宍戸、あたし自分で持てるから。」
「あー……、合宿中助けてやれなかったからよ。これくらいさせてくれ。」
助けられなかった、と彼の言葉に首を傾げる。先程助けてもらったばかりだというのに彼は何を言っているのだろうか。
「水羽の時も切原の時も……長太郎の時も。俺、近くに居たのによ。」
両肩にあたしと自分の荷物を提げて罰が悪そうな顔をする。確かに里の時は叩かれたし、赤也の時は真田の一声で助かったし、ちょたのスカッドサーブから守ってくれたのは不二だったし。序でにウォータージャグを運ぶのを手伝ってくれたのは日吉だった。
でもそれは、彼らが宍戸より近い場所に居たからであって宍戸が悪かった訳ではない。本来なら、あたしの危機管理能力の無さに呆れる所であって宍戸が罪悪感を抱える事ではないのだ。
それに、あたしは助けて欲しくて宍戸の側に居るのではない。それに気がつかない宍戸にやきもきとするがそれを口には出さなかった。
「分かった……ありがとう。」
一応のお礼を告げて玄関へ向かう。靴を履き替えてスマホで時間を確認すると、集合時間ギリギリで、焦りの声を上げた。
「宍戸ヤバい!!時間ギリギリ!!」
「あ、おい!」
宍戸の制止も聞かずスリッパをパタパタとはしたなく音を立てて走り出す。この時ばかりは荷物を持ってくれている宍戸に感謝した。
あと一つ角を曲がれば食堂の入り口、というところで視界に人影が映る。慌てて止まろうと足先にブレーキをかけるが、逆に足がもつれて前のめりに倒れた。
「いっ……たた……。」
反射的に受け身を取ろうと身を捻った為、顔面を打ち付けることは無かったが、その代わりに右肩が廊下に打ち付けられた。身を起こしつつ右肩を摩ると、大丈夫かよぃ、と特徴的な声が降ってくる。視線をやると丸井の姿があった。どうやら角から出てきた人影は彼だったらしい。
「ごめん、大丈夫。丸井は怪我してない?」
「あぁ、俺は別に。……しっかし、派手に転んだな!」
彼はあたしに手を差し出しながら遠慮なく笑い声を上げる。羞恥心から熱くなる頬を膨らませて、あたしも遠慮なく丸井の手を取って立ち上がった。
「……で、お前右肩に湿布とか貼っといた方がいいんじゃね?医務室行くか?」
ひとしきり笑って、彼は口を開いた。まぁ確かに湿布は貼っておいた方が良いだろう。でも医務室に行く程の時間は……。そこまで考えてあっ、と小さく声を上げた。
「湿布……持ってる。ジャッカルに貰ったヤツ。」
頬に貼ってもらった湿布とは別に受け取った、新品の湿布。ジローちゃんがあたしとお揃いがいいと言い出した時に彼の頬に貼る用に貰ったものだったが、思いも寄らない所で役に立った。
「んじゃ、それ貼っとけ。」
「うん、そうする。」
じゃあ食堂に向かうから、と言う所で後ろから右腕を強く引かれた。