その少女、少年につき困惑
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「俺様の質問に素直に答えたら、解放してやる。」
解放、その言葉にどきり、と大きく心臓が跳ねた。解放、される。この熱から。快楽に染まる身体から。素直に、なるだけでいい。
あたしはこくこくと頷いて承諾する。跡部の質問がどんなものかなんてもうどうでもいい。
ただ早く、この快楽に魘される自分の意思が効かない身体をどうにかして欲しかった。
あたしの返事に気を良くしたのか、跡部は再度ニンマリと口元を歪め低く下げた声色でゆっくりと言葉を吐いた。
「女に拘る理由はなんだ。」
ゾクゾクとしたものが背筋を通る。先程あたしが誤魔化そうとした質問と同じ質問。
きっと跡部はあたしが女だからだと、初対面の時に投げつけた解答では満足しないのだろう。
答えたくなんて、ないのに。
口を噤んだままのあたしに、跡部が舌打ちを鳴らしてぐっと膝に力を込める。噛み締めた唇から小さくあっ、と甘い声が漏れた。
早く答えろと跡部があたしの耳朶に唇を寄せ、軽く唇で食んだかと思うと、次には容赦なく歯を立てた。
「……いっ!?」
恐怖も快楽も同時に与えられ、じわりじわりとあたしから拒否権を奪っていく。脚の震えも滲む視界も、どちらから来るものかもう分からなかった。
「……だって!」
追いつかない思考に、半ば自棄になって声を上げると漸く跡部は愛撫の手を止める。その蒼い瞳をあたしに合わせて次の言葉を待っていた。
相変わらずはぁはぁと乱れたままの息を整える事はせず、そのまま何を考えるでもなく言葉を続ける。思考は、早くとそれだけが埋めていた。
「男のままじゃ、跡部に、好きだと言うことすら出来ない……っ!」
じっと跡部の瞳を吸い込まれるように見つめる。早く、早く解放して。
早く、と言葉にしようとして、それは音にならなかった。掠れた吐息だけがこぼれ落ちて、口先だけで跡部に催促する。はしたないとか、そんな事は思いつきもしなかった。
素直に答えたのに動きを止めたままの跡部に疑問よりも苛立ちが勝って、もう一度早く、と音にならない言葉で催促すると、漸く跡部が反応を見せる。
本日三度目の舌打ちを鳴らして、ギリギリを保っていた距離を詰めた。唇が重なる。
膝での愛撫も再開し、反射的に上がる声は跡部に唾液ごと飲み込まれ、息を乱すことすら叶わない。何度も角度を変えてあたしから吐息を奪う跡部の口元が満足気に孤を描いた頃、漸くあたしも熱に浮かんだ思考から解放された。