その少女、少年につき困惑
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縫い付けられた腕も、抑え込まれた身体も逃げ出すことは出来ない。
「……別に、目を合わせなくてもちゃんと仕事してるんだからいいでしょ。」
冷静に、いつも通りに。頭の中でしつこい程に念じたお陰か、口から出た言葉はいつも通りの声色だった。けれど相変わらず視線は合わせることが出来ない。目が合わずとも跡部が怒っているという事は感じ取れた。
ギリギリと跡部の右手に力が籠る。痛い。思わず下唇を噛み締めて耐えるが、先に白旗を上げたのはあたしの唇の方だった。先程裂けた唇の皮膚が余計に傷付き血の味が口内に広がる。それでも跡部に屈する訳にはいかない。
「おい。」
その声は酷く冷たかった。怒りすら感じられない程に。突然に熱を失った跡部の声に肝が冷える。怖い、と思ったのは初めてだった。
カタカタと小刻みに震える。それでも視線を逸らしたままなのはあたしの最後の意地だった。じわりと歪む視界が情けない。
「……てめぇは、男だ。」
ぐっと跡部があたしの脚の間に差し入れた膝先で、あたしの中心を刺激する。突然の行動に思考がパニックに染まる。どうして、なんで。
それを口にしようと口を開くと、それに合わせて跡部があたしを刺激する。ひっと短い悲鳴にしかならない。それが数度繰り返され、やだやだと首を振るしか出来なくなった頃、あたしはあの日から数日、初めて跡部に視線を合わせた。深い深い蒼。じわりと滲んだ視界に映ったそれは、喜色を帯びていた。
「やっと視線を合わせたな。」
ニンマリと口角を上げながら、顔を近づけてくる。互いの乱れた吐息が感じられる程の距離を保って跡部が口を開く。
「……なんでそんなに女である事に拘りやがる。」
「……それは、前にも言ったでしょ……っ!」
あたしが女だから、と続ける前に跡部はあたしへの刺激を再開した。先程まで恐怖しか感じなかったそれは、段々と快楽を感じ始めている。生理的な声を上げそうになるが下唇を噛み締めて耐える。けれど、それもいつまで持つかは分からない。快楽を拾っていることは、兆し始めた事で彼に伝わっている筈だから。
悔しさと、快楽と、嫌悪と、悦びと。ごちゃごちゃになった感情が整理出来ない。けれど、目の前の彼をどうにかしなければ、逃げ出す事も出来ない。
既にあたしの腕を纏める手に籠められた力に遠慮なんて物はなく、痛みを感じるがそれよりも、ぱちぱちと弾ける快楽がストレート現れてしまう身体が辛かった。あぁ、これだから男なんて。
はっはっ、と短く吐く息が跡部にかかるが気にしてなんていられない。ぐっぐっと与えられる刺激に思考が奪われていく。もう解放して欲しい。そしてその解放の仕方も、あたしは知っていた。
けれどそれをするには、両手が使えない以上、目の前の元凶となる男に懇願するしかない。
身体に溜まる熱がプライドやらモラルやら、何も考えられなくさせる。ただ解放して欲しい、とそれだけが思考を埋める頃、跡部が甘美な色を滲ませて誘惑するように耳元で囁いた。