足りない歩幅
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
小吉の『好きな人出来た宣言』から早くも1週間が経った。
特に何が変わったわけでもなく、平和に希望ヶ峰学園生活を謳歌して「んあー!やめんか!」
………いや、平和なクラスに上がるこの声は、普段あまり大きな声を出さない秘密子ちゃんのものだ。
私から一番遠い廊下側の端の席でぷりぷり声を荒げる秘密子ちゃんの傍には、悪の総統である小吉がニヤニヤ嫌な笑みを浮かべながら手に持っていたびっくり箱を掲げた。
「にししっ!夢野ちゃんほんっと驚いた顔ブサイクだよね~!!」
「男ッ死!!!夢野さんから離れてください!!!!」
こうして小吉は順当(?)にその想い人である秘密子ちゃんにちょっかいを掛けては転子ちゃんに極められそうになって逃げ回っている。
しかしまぁちょっかいのかけ方がまるでお子様だ。本当に恋愛のレベルが小学生で呆れるしかない。
私には変わったことはなかったが、小吉は少しずつ秘密子ちゃんにちょっかいと言う名の嫌がらせ行為を繰り返している。
恐らく秘密子ちゃんの自分より小さく愛らしい所に惹かれたであろうに「チビ」だの「ブス」だの「つるぺた」だの高校生とは思えない声のかけ方だった。
しかし相手の秘密子ちゃんも良くも悪くも子供だったので、小吉の発言にことごとく食いついては怒り、時には泣いて応戦する。そういう所もなにか新鮮だったんだろうな、なんて考えた。
私は小吉に何かを言われて怒ったことはあれどもあんなに可愛らしくぐすぐすと泣いたことは無かった。はず。子供の頃ならまだしも。
もちろん泣けば小吉は焦る。なにせ泣かせたくてちょっかいを掛けているわけではないから。でも毎回あのレベルのことをされたら普通なら嫌がらせと捉えられてもしょうがない。
それに、秘密子ちゃんが泣けば、専用セコムの転子ちゃんが作動して自動的に小吉は秘密子ちゃんから引き剥がされる。
そして逃げ着く先は決まって私の元である。
「助けて名前ー!」
「また?」
「くっ、卑怯ですよ!またもか弱い名字さんを盾にするなんて!これだから男死は……!」
「酷いや!俺も茶柱ちゃんに比べたらか弱いよ!」
「うるさいですよ!夢野さんを何度も泣かせて……恥を知ってください!」
私を盾にしつつ、転子ちゃんとの口論を繰り広げる幼馴染に一つため息を零す。
そうしていつも通りの言葉を吐くのだ。
「ごめんね、転子ちゃん。後は私が叱っておくから、泣いてる秘密子ちゃんを慰めてあげなよ」
「で、ですが……」
「きっと泣いてる時は慰めてくれる人がいた方が嬉しいと思うよ。私なら、これでも長年小吉の幼馴染だからみすみす逃がしたりしないし……大丈夫。」
「ぐっ……!っすいません!お願いします!」
夢野さーん!と言いながら走って戻っていく転子ちゃんに見えてないであろうけど手を振った。
さて、嘘をつくと怒る幼馴染の事を、叱らなければ。未だに後ろにへばりついているので早く出てきて欲しい。
「ほら、転子ちゃんは帰ったよ」
「でもこれから名前のお説教でしょー?やだなやだなー。」
「いいから早く。私を嘘つきにするつもり?」
「たはー!それは嫌だなー。なんたって俺は他人の嘘は嫌いだからねー!」
「知ってるよ、ほら、出てきて」
渋々を装って手元の箱をいじりながら出てきたけど顔は笑っているしでこれは楽しんでいるな。
全く、そんなんじゃいつまで経っても秘密子ちゃんは小吉に惚れたり何かしない……そう思った瞬間になんだか安心してしまう自分がいて、なんで安心したのかがわからない。
まだ双子の弟が取れらることが嫌なのか、と少し自分に呆れながら小吉に話しかけた。
「もう少し女の子には優しくしなよ」
「ええ!?もう既に超優しいじゃん!俺以上に優しい人っているの!?」
「はいはい、私に嘘ついても無意味だよ」
誤魔化すように嘘をつく小吉を諭していけば、逃げ場を失い諦めたようにため息を吐いた。
「……だってさぁ、今更なんて言えばいいわけ……」
唇を尖らせてそう言う小吉は『超高校級の総統』ではない。
かといって『どこにでもいる男子高校生』にも見えない。
まるで『好きな子に告白できず悩む小学生』のように見える。
恋をして、らしくもなく悩む、ただの男の子。
そのせいか過去のもてあそばれた彼女たちが哀れに思えてくるぐらい、小吉は秘密子ちゃんに惚れている。
いつもの嘘が仇になっているのが自分でも分かっているからこそ悩んでいるのだ。
皆小吉の言葉を1度は疑ってうけとるし、仮に本人が本当のことを言っても恥ずかしかったり知られるのが癪だと思えば小吉はお得意の『嘘』で誤魔化す。
だからこそ皆小吉の扱い方が分からず、離れていったり陰口言ったりするのだ。
もちろん、DICEのメンバーや私みたいに面白がって好む人間もいるっちゃいるけれど……圧倒的に少数派だし。
「……ここに来て狼少年なのが仇になったね」
「たはーっ、嘘なんかつかなきゃ良かったなぁ!」
「嘘だね」
「そりゃあね!俺から嘘をとったら只の可愛い男子高校生だよ!」
「小学生の間違いじゃない?」
「ちょっと」
軽口を叩けている分今はそんなに傷ついてはいないみたいだけど、これから先どうなるかが心配だ。
秘密子ちゃんはあれだけ虐めてくる小吉のこと苦手だろうし、転子ちゃんは言わずもがな。前途多難だ。
特に何が変わったわけでもなく、平和に希望ヶ峰学園生活を謳歌して「んあー!やめんか!」
………いや、平和なクラスに上がるこの声は、普段あまり大きな声を出さない秘密子ちゃんのものだ。
私から一番遠い廊下側の端の席でぷりぷり声を荒げる秘密子ちゃんの傍には、悪の総統である小吉がニヤニヤ嫌な笑みを浮かべながら手に持っていたびっくり箱を掲げた。
「にししっ!夢野ちゃんほんっと驚いた顔ブサイクだよね~!!」
「男ッ死!!!夢野さんから離れてください!!!!」
こうして小吉は順当(?)にその想い人である秘密子ちゃんにちょっかいを掛けては転子ちゃんに極められそうになって逃げ回っている。
しかしまぁちょっかいのかけ方がまるでお子様だ。本当に恋愛のレベルが小学生で呆れるしかない。
私には変わったことはなかったが、小吉は少しずつ秘密子ちゃんにちょっかいと言う名の嫌がらせ行為を繰り返している。
恐らく秘密子ちゃんの自分より小さく愛らしい所に惹かれたであろうに「チビ」だの「ブス」だの「つるぺた」だの高校生とは思えない声のかけ方だった。
しかし相手の秘密子ちゃんも良くも悪くも子供だったので、小吉の発言にことごとく食いついては怒り、時には泣いて応戦する。そういう所もなにか新鮮だったんだろうな、なんて考えた。
私は小吉に何かを言われて怒ったことはあれどもあんなに可愛らしくぐすぐすと泣いたことは無かった。はず。子供の頃ならまだしも。
もちろん泣けば小吉は焦る。なにせ泣かせたくてちょっかいを掛けているわけではないから。でも毎回あのレベルのことをされたら普通なら嫌がらせと捉えられてもしょうがない。
それに、秘密子ちゃんが泣けば、専用セコムの転子ちゃんが作動して自動的に小吉は秘密子ちゃんから引き剥がされる。
そして逃げ着く先は決まって私の元である。
「助けて名前ー!」
「また?」
「くっ、卑怯ですよ!またもか弱い名字さんを盾にするなんて!これだから男死は……!」
「酷いや!俺も茶柱ちゃんに比べたらか弱いよ!」
「うるさいですよ!夢野さんを何度も泣かせて……恥を知ってください!」
私を盾にしつつ、転子ちゃんとの口論を繰り広げる幼馴染に一つため息を零す。
そうしていつも通りの言葉を吐くのだ。
「ごめんね、転子ちゃん。後は私が叱っておくから、泣いてる秘密子ちゃんを慰めてあげなよ」
「で、ですが……」
「きっと泣いてる時は慰めてくれる人がいた方が嬉しいと思うよ。私なら、これでも長年小吉の幼馴染だからみすみす逃がしたりしないし……大丈夫。」
「ぐっ……!っすいません!お願いします!」
夢野さーん!と言いながら走って戻っていく転子ちゃんに見えてないであろうけど手を振った。
さて、嘘をつくと怒る幼馴染の事を、叱らなければ。未だに後ろにへばりついているので早く出てきて欲しい。
「ほら、転子ちゃんは帰ったよ」
「でもこれから名前のお説教でしょー?やだなやだなー。」
「いいから早く。私を嘘つきにするつもり?」
「たはー!それは嫌だなー。なんたって俺は他人の嘘は嫌いだからねー!」
「知ってるよ、ほら、出てきて」
渋々を装って手元の箱をいじりながら出てきたけど顔は笑っているしでこれは楽しんでいるな。
全く、そんなんじゃいつまで経っても秘密子ちゃんは小吉に惚れたり何かしない……そう思った瞬間になんだか安心してしまう自分がいて、なんで安心したのかがわからない。
まだ双子の弟が取れらることが嫌なのか、と少し自分に呆れながら小吉に話しかけた。
「もう少し女の子には優しくしなよ」
「ええ!?もう既に超優しいじゃん!俺以上に優しい人っているの!?」
「はいはい、私に嘘ついても無意味だよ」
誤魔化すように嘘をつく小吉を諭していけば、逃げ場を失い諦めたようにため息を吐いた。
「……だってさぁ、今更なんて言えばいいわけ……」
唇を尖らせてそう言う小吉は『超高校級の総統』ではない。
かといって『どこにでもいる男子高校生』にも見えない。
まるで『好きな子に告白できず悩む小学生』のように見える。
恋をして、らしくもなく悩む、ただの男の子。
そのせいか過去のもてあそばれた彼女たちが哀れに思えてくるぐらい、小吉は秘密子ちゃんに惚れている。
いつもの嘘が仇になっているのが自分でも分かっているからこそ悩んでいるのだ。
皆小吉の言葉を1度は疑ってうけとるし、仮に本人が本当のことを言っても恥ずかしかったり知られるのが癪だと思えば小吉はお得意の『嘘』で誤魔化す。
だからこそ皆小吉の扱い方が分からず、離れていったり陰口言ったりするのだ。
もちろん、DICEのメンバーや私みたいに面白がって好む人間もいるっちゃいるけれど……圧倒的に少数派だし。
「……ここに来て狼少年なのが仇になったね」
「たはーっ、嘘なんかつかなきゃ良かったなぁ!」
「嘘だね」
「そりゃあね!俺から嘘をとったら只の可愛い男子高校生だよ!」
「小学生の間違いじゃない?」
「ちょっと」
軽口を叩けている分今はそんなに傷ついてはいないみたいだけど、これから先どうなるかが心配だ。
秘密子ちゃんはあれだけ虐めてくる小吉のこと苦手だろうし、転子ちゃんは言わずもがな。前途多難だ。