つめたい仲直り
名前
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「何を言っても、名前なら俺の言葉の意図を全部理解してくれるって思ってた。」
小吉が言った言葉にやっぱりか、と思うのと同時に先ほどと同じように「……ごめん、」という言葉がこぼれ落ちる。
それを聞いた上で小吉はただ静かに、あの幼少期の頃のように真剣に話を続けた。
「でも俺の言葉って『嘘』とか『本当』とかまぜこぜじゃん。自分でもたまーにわかんなくなんの。『あれ?俺本当はこんなこと言いたかった訳じゃないんだけどな』みたいなさ。……でもそれをガキの頃から毎回名前だけは見破ってくれんの」
「それは……」
「だからさ、名前は俺のことよく分かってたと思うし、どっちかって言うと俺の方がお前のことわかんなくなってたと思う。」
その言葉に驚愕した。小吉が私のことを分かっていなかったって、一体どういう意味なのだろうか。
「俺は基本的に名前に色々言ってたけど、気がついたら名前は俺に何も言わなくなったよね。」
「え、」
「中学生の時、俺が彼女つくったでしょ。その当たりから……いや、もっと前からなのかも知れないけど」
小吉が言う意味がなんとなく、わかった気がした。そのタイミングで私は彼の本心って奴が分からなくて、わかる振りして色々言っていた時だ。私のその行動も小吉からすれば本心の分からない女の行動であったのだ。
「けど、その分話は聞いててくれてたじゃん。俺は名前の話をちゃんと聞くこと無かったしお互い足りなかった所があったよなって思ったんだよね」
「……結局、お互いわかる振りして依存してた、ってことだね」
「……そういうこと。だから、泣かせてごめん。」
「……うん、」
ようやく私達は本音という本音で話し合うことが出来たのかと思うとなんだか可笑しくって自然と口角が上がってしまう。
「……あーあ、まさか最原ちゃんに仲を取り持ってもらうなんて黒歴史にも程があるよ!」
それを見た小吉はいつものようにケラケラと笑う。
「本当にそう思ってる?」
「……仲直り出来てラッキーって思ってる」
「……こうやって聞いても良かったんだね、」
「幼馴染だから全部知らなきゃいけないって固定概念に囚われ過ぎてたんだよ俺達」
「……理解者でいたかったんだよ、小吉のさ」
「なにそれ」
「小さい頃からずっと思ってたけど小吉ってものすごい寂しがり屋なんだと思ってた」
「はあ?」
「だから私だけは絶対に小吉を一人にしちゃいけないって、ずっと思ってたけど……合ってる?」
「うっわそんなこと言わせんの?名前も鬼畜だよね~……ま、ガキの頃はそうだったかもね。今は別に。俺には部下がいるし、どーせ今更名前は離れる気もないんでしょ」
「そうだね、うん」
半分ほど残っていて冷たくなってしまったコーヒーをまた飲む。意外と酸味がなくて、飲みやすい。緊張で味がわからなかったのかも知れない。
「アイスコーヒーはうまいのに、冷めたホットコーヒーってあんまり美味しくないよね。」
なんて言った小吉の言葉で、話していた時間がわりと長かったことを知る。
「で、結局名前は最原ちゃんとはどうなの?付き合うの?」
「ん!?」
突然小吉が爆弾を投下してきて、私はコーヒーが器官に入りそうになるほど驚いてしまった。ゲホゲホ咳き込んでた私の言葉を待たず、小吉は横を通りがかったウェイターさんにグレープクリームフロートを注文して、何事もなかったかのように続けた。
「俺それがずっと気になってたんだよね。正直自分の兄妹取られるみたいで多少嫌だけど、やっぱり幸せになってもらいたいわけ」
「ん、ぐ……それ、私も小吉が彼女出来たって言った時思ってたよ」
「……マジ?」
「マジ」
「たはーっ、結局お互い言わずに居たから何にも伝わんなかったのか……」
「……でもよく考えたらそうだよね、やっぱり、言わなきゃ分かんないよね、気持ちなんて」
私が自分のことを『言わなさ過ぎた』事に反省していると、ウェイターさんが小吉の注文したグレープクリームフロートを持ってきて、私のコーヒーカップを見て、一言。
「おかわりいかがですか?」
「お願いします」
少ししてウェイターさんが新しいコーヒーを持ってきてくれた。カップに注がれた熱いコーヒーはふんわりと湯気とともに良い香りがする。コーヒー豆の種類は詳しくはないけどきっといい豆なんだろうと思った。
お互い顔を見合わせると、最初の表情とは別人のようだった。
また、あの幼い頃の関係のように戻れるだろうか……そう考えて笑う。
分からないなら分かるように歩み寄ればいい。幼い頃は自然と出来ていたのにこの歳になって意識してやるなんてちゃんちゃらおかしいけれど、やるだけやってみようと思った。
ミルクを入れて、混ぜる。
小吉はフロートのアイスを食べて笑う。
「これ、コーヒーに入れたらうまいんじゃない?」
「アフォガードとかあるしね」
「え!?今俺のことアホって言った!?」
「言ってない、いつから老人になったの?」
小吉が言った言葉にやっぱりか、と思うのと同時に先ほどと同じように「……ごめん、」という言葉がこぼれ落ちる。
それを聞いた上で小吉はただ静かに、あの幼少期の頃のように真剣に話を続けた。
「でも俺の言葉って『嘘』とか『本当』とかまぜこぜじゃん。自分でもたまーにわかんなくなんの。『あれ?俺本当はこんなこと言いたかった訳じゃないんだけどな』みたいなさ。……でもそれをガキの頃から毎回名前だけは見破ってくれんの」
「それは……」
「だからさ、名前は俺のことよく分かってたと思うし、どっちかって言うと俺の方がお前のことわかんなくなってたと思う。」
その言葉に驚愕した。小吉が私のことを分かっていなかったって、一体どういう意味なのだろうか。
「俺は基本的に名前に色々言ってたけど、気がついたら名前は俺に何も言わなくなったよね。」
「え、」
「中学生の時、俺が彼女つくったでしょ。その当たりから……いや、もっと前からなのかも知れないけど」
小吉が言う意味がなんとなく、わかった気がした。そのタイミングで私は彼の本心って奴が分からなくて、わかる振りして色々言っていた時だ。私のその行動も小吉からすれば本心の分からない女の行動であったのだ。
「けど、その分話は聞いててくれてたじゃん。俺は名前の話をちゃんと聞くこと無かったしお互い足りなかった所があったよなって思ったんだよね」
「……結局、お互いわかる振りして依存してた、ってことだね」
「……そういうこと。だから、泣かせてごめん。」
「……うん、」
ようやく私達は本音という本音で話し合うことが出来たのかと思うとなんだか可笑しくって自然と口角が上がってしまう。
「……あーあ、まさか最原ちゃんに仲を取り持ってもらうなんて黒歴史にも程があるよ!」
それを見た小吉はいつものようにケラケラと笑う。
「本当にそう思ってる?」
「……仲直り出来てラッキーって思ってる」
「……こうやって聞いても良かったんだね、」
「幼馴染だから全部知らなきゃいけないって固定概念に囚われ過ぎてたんだよ俺達」
「……理解者でいたかったんだよ、小吉のさ」
「なにそれ」
「小さい頃からずっと思ってたけど小吉ってものすごい寂しがり屋なんだと思ってた」
「はあ?」
「だから私だけは絶対に小吉を一人にしちゃいけないって、ずっと思ってたけど……合ってる?」
「うっわそんなこと言わせんの?名前も鬼畜だよね~……ま、ガキの頃はそうだったかもね。今は別に。俺には部下がいるし、どーせ今更名前は離れる気もないんでしょ」
「そうだね、うん」
半分ほど残っていて冷たくなってしまったコーヒーをまた飲む。意外と酸味がなくて、飲みやすい。緊張で味がわからなかったのかも知れない。
「アイスコーヒーはうまいのに、冷めたホットコーヒーってあんまり美味しくないよね。」
なんて言った小吉の言葉で、話していた時間がわりと長かったことを知る。
「で、結局名前は最原ちゃんとはどうなの?付き合うの?」
「ん!?」
突然小吉が爆弾を投下してきて、私はコーヒーが器官に入りそうになるほど驚いてしまった。ゲホゲホ咳き込んでた私の言葉を待たず、小吉は横を通りがかったウェイターさんにグレープクリームフロートを注文して、何事もなかったかのように続けた。
「俺それがずっと気になってたんだよね。正直自分の兄妹取られるみたいで多少嫌だけど、やっぱり幸せになってもらいたいわけ」
「ん、ぐ……それ、私も小吉が彼女出来たって言った時思ってたよ」
「……マジ?」
「マジ」
「たはーっ、結局お互い言わずに居たから何にも伝わんなかったのか……」
「……でもよく考えたらそうだよね、やっぱり、言わなきゃ分かんないよね、気持ちなんて」
私が自分のことを『言わなさ過ぎた』事に反省していると、ウェイターさんが小吉の注文したグレープクリームフロートを持ってきて、私のコーヒーカップを見て、一言。
「おかわりいかがですか?」
「お願いします」
少ししてウェイターさんが新しいコーヒーを持ってきてくれた。カップに注がれた熱いコーヒーはふんわりと湯気とともに良い香りがする。コーヒー豆の種類は詳しくはないけどきっといい豆なんだろうと思った。
お互い顔を見合わせると、最初の表情とは別人のようだった。
また、あの幼い頃の関係のように戻れるだろうか……そう考えて笑う。
分からないなら分かるように歩み寄ればいい。幼い頃は自然と出来ていたのにこの歳になって意識してやるなんてちゃんちゃらおかしいけれど、やるだけやってみようと思った。
ミルクを入れて、混ぜる。
小吉はフロートのアイスを食べて笑う。
「これ、コーヒーに入れたらうまいんじゃない?」
「アフォガードとかあるしね」
「え!?今俺のことアホって言った!?」
「言ってない、いつから老人になったの?」
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