つめたい仲直り
名前
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最原くんは私のことを好いてくれていて、しかもそれを臆することなく私に教えてくれる。そのことに対して多少のむず痒さはあるものの、彼の心はとってもわかり易かった。
けれども小吉にはいつの間にか言葉に『嘘』か『真実』をまぜこぜにして私にも測れない時が多々あった。
元彼女達の話がいい例になる。私は彼女達のように使い捨ての道具のように捨てられたくなかったのだ。
大事に思っているから、大事にされたかったし、小吉が大事にしている組織のように一緒に在りたかった。
……分かったような振りをしていたのは、ほかでもない、私だ。小吉の言う通りだった。分からないから、分かった振りをしていたんだ。
分からないから分かった振りをして、全ての決定権を彼に与える。
そうして下された決定は彼にとって、目の前にいる私にとって全て『真実』だったから。この行為を簡単に例えるなら、後出しジャンケンをして、『うん、その手が出ると思ってたよ』と言うのと全く同じことだった。
とにかく、小吉の事で知らないことやその『嘘』に騙されたくなかった。小吉の半身でいたかった。理解者でいたかった。
そのために私は彼と下らない事を言って笑いあえて、更には真剣に話も出来る幼少期の関係を壊して、気が付いたら擦れ違って、大きな溝が出来て、今となってはただの他人になってしまった。
「名字さん、?」
「あ、うん、ごめん。」
またぼーっと考えてしまって最原くんに呼ばれて弾かれたように彼を見る。
最原くんは困ったように笑いながら私を見つめていた。その時の私は自分がどんな表情をしていたのか、全くわかっていなかった。
***
無言がこの場を支配している。
カフェで男女が2人、無言でコーヒーを啜る。これでは客観的に見ると、これから別れ話をするカップルに見える。
最原くんが上手く取り持ってくれて、2人きりになる時間を作ってくれたのはありがたかったけど、気まずさが先行してなにも言えない。ただ無言でコーヒーを啜る。思ったよりも酸味が強くて苦い。ミルクをいれたいけど、場の雰囲気が重たすぎて腕が動かない。嫌に緊張してしまう。
「……ねえ、」
「!」
先に口を開いたのは小吉だった。
正直意外だった。小吉なら、コーヒーを飲み終えたら無言で立ち上がって帰りそうなのに……いや、こう言った決めつけが良くなかったのだ、と自分を心の中で叱りつけ、ようやく小吉の顔を見る。
小吉の表情はなんて言ったらいいか分からない表情だった。ただ、悲しそうなのか、イラついているのか、気まずいのか……どれとも取れて、どれとも取れないような顔をしている。
「ごめんね、」
そんな小吉を見て心から零れ出た私の言葉に、小吉はただ目を丸くした。
「ごめん、小吉……ごめん。」
「な、んで、名前が謝るんだよ……」
お互いコーヒーに喉をやられたのか、はたまた緊張から喉が乾いてるのかやたらとガラガラした声だった。
「嫌なこといっぱい言った……小吉の言う通り、全部わかった振りだったんだと、思う」
私はそのまま思ったことを言葉にした。何度も唾を飲み飲んでも喉は渇いている。
「私には、最近の小吉の『嘘』が難しくて、何考えてんのかとかもやっぱりよく分からなくて……推測でいっぱいものを言ってた。最初は合ってた、と思うし、けど気がついたら色々分かんなくなってて、なんで分かんなくなったのか分かんないけど、とにかく」
「……。」
「分かった振りして、迷惑かけてごめん、」
「……俺、は」
喉に張り付いた声は小吉も一緒だったけど、なんだか小吉の方を見れなかった。
けれども小吉にはいつの間にか言葉に『嘘』か『真実』をまぜこぜにして私にも測れない時が多々あった。
元彼女達の話がいい例になる。私は彼女達のように使い捨ての道具のように捨てられたくなかったのだ。
大事に思っているから、大事にされたかったし、小吉が大事にしている組織のように一緒に在りたかった。
……分かったような振りをしていたのは、ほかでもない、私だ。小吉の言う通りだった。分からないから、分かった振りをしていたんだ。
分からないから分かった振りをして、全ての決定権を彼に与える。
そうして下された決定は彼にとって、目の前にいる私にとって全て『真実』だったから。この行為を簡単に例えるなら、後出しジャンケンをして、『うん、その手が出ると思ってたよ』と言うのと全く同じことだった。
とにかく、小吉の事で知らないことやその『嘘』に騙されたくなかった。小吉の半身でいたかった。理解者でいたかった。
そのために私は彼と下らない事を言って笑いあえて、更には真剣に話も出来る幼少期の関係を壊して、気が付いたら擦れ違って、大きな溝が出来て、今となってはただの他人になってしまった。
「名字さん、?」
「あ、うん、ごめん。」
またぼーっと考えてしまって最原くんに呼ばれて弾かれたように彼を見る。
最原くんは困ったように笑いながら私を見つめていた。その時の私は自分がどんな表情をしていたのか、全くわかっていなかった。
***
無言がこの場を支配している。
カフェで男女が2人、無言でコーヒーを啜る。これでは客観的に見ると、これから別れ話をするカップルに見える。
最原くんが上手く取り持ってくれて、2人きりになる時間を作ってくれたのはありがたかったけど、気まずさが先行してなにも言えない。ただ無言でコーヒーを啜る。思ったよりも酸味が強くて苦い。ミルクをいれたいけど、場の雰囲気が重たすぎて腕が動かない。嫌に緊張してしまう。
「……ねえ、」
「!」
先に口を開いたのは小吉だった。
正直意外だった。小吉なら、コーヒーを飲み終えたら無言で立ち上がって帰りそうなのに……いや、こう言った決めつけが良くなかったのだ、と自分を心の中で叱りつけ、ようやく小吉の顔を見る。
小吉の表情はなんて言ったらいいか分からない表情だった。ただ、悲しそうなのか、イラついているのか、気まずいのか……どれとも取れて、どれとも取れないような顔をしている。
「ごめんね、」
そんな小吉を見て心から零れ出た私の言葉に、小吉はただ目を丸くした。
「ごめん、小吉……ごめん。」
「な、んで、名前が謝るんだよ……」
お互いコーヒーに喉をやられたのか、はたまた緊張から喉が乾いてるのかやたらとガラガラした声だった。
「嫌なこといっぱい言った……小吉の言う通り、全部わかった振りだったんだと、思う」
私はそのまま思ったことを言葉にした。何度も唾を飲み飲んでも喉は渇いている。
「私には、最近の小吉の『嘘』が難しくて、何考えてんのかとかもやっぱりよく分からなくて……推測でいっぱいものを言ってた。最初は合ってた、と思うし、けど気がついたら色々分かんなくなってて、なんで分かんなくなったのか分かんないけど、とにかく」
「……。」
「分かった振りして、迷惑かけてごめん、」
「……俺、は」
喉に張り付いた声は小吉も一緒だったけど、なんだか小吉の方を見れなかった。