春川魔姫と友達になりたい
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魔姫ちゃんとお友達になってから次の日、2人で学校に登校するとクラスのみんながギャーギャー騒ぎ始めた。
おでこに手を当ててはあ…と溜息をつく魔姫ちゃんをみて、私は騒いでいるみんなの前へ立つ。
「もう!うるさいよ皆!魔姫ちゃんはうるさいの嫌いなんだからね!」
「それアンタが言う?」
「え、もしかして魔姫ちゃん私のこと嫌い!?」
「そんな事言ってないでしょ」
「魔姫ちゃん大好き!」
「うるさい」
暫くみんなはうるさかったけどそのたびに私が間に入っていた。
私と普通に会話する魔姫ちゃんを見たみんなも、魔姫ちゃんに少しずつ声をかけるようになった。最初はみんなに対してツンツンしてた魔姫ちゃんも数週間すると慣れてきて、その中でも楓ちゃんとは仲良くなるのは早かったと思う。
でも一番驚いたのは、
「ようハルマキ!おはようさん!」
「はいはい、おはよう」
百田くんとめっちゃ仲良くなってた事だった。
ま、まあ????私は????魔姫ちゃんの???初めての????親友だから????別にどうってことないけど????うん????と嫉妬に狂っていた時期も確かにあった……。
そんな私が百田くんをビビらせようと後ろからちょっかいかけまくってさらに騒がせて魔姫ちゃんに「………やめな」って止められたこともあったし、
一番やばかったのは驚かせすぎた百田くんが魔姫ちゃんに抱きついたこと。
え!許せない!と最初に思ったけど、抱きつかれた魔姫ちゃんの頬が少し赤く染まっていて、しかも今まで見たことない表情をしてたので、もしかして………。いやだとしたら私最低すぎる!魔姫ちゃんに嫌われたくない!と決意新たに魔姫ちゃんファーストに方向修正した。
ちなみに本人に「百田くんのこと好きなの?」って聞いたら「そんなわけないでしょ!?殺されたいの!?」って照れながらブチギレられた。かわいかった。
だからもう、私の嫉妬心なんてどうでもいい。
魔姫ちゃんが幸せになるのが一番だし、それに、最近とっても楽しそう。だからそれでいい。
それにどんな人が現れたって魔姫ちゃんの親友ポジションを勝ち得たのは他でもない私だから!
最近百田くんとか最原くんとか楓ちゃんとかと仲良くしてるのもわかってるし、特に百田くんは魔姫ちゃんに構い倒している気がする。さらに地味な嫌がらせをしていた私に対しても百田くんは「そんなこともあったな!」って笑い飛ばすぐらいには良い人だし。
もしこれで百田くんも魔姫ちゃんのこと好きだってわかったら私は全力で応援するつもりだ。
百田くんいい人だったし、豪快なところあるけど優しいし、きっと魔姫ちゃんみたいなツンデレさんもなんだかんだちゃんと扱えるに決まってる。
今応援しないのかって?みすみす親友を渡すものかって話!まだ、まだね。
**************
そんなこんなでお昼を二人で食べることになってしばらくしたけど、いつも空き教室を使っている。
静かだし余計な人(主に総統)が入ってこないから。
いつもならなんとなしに会話してるんだけど今日は魔姫ちゃんがやけに大人しい。
いやいつも大人しいけど、違う大人しさと言うのか、まあなんかいつもと違うの!親友の感!
食も進んでないみたいだし、どこか体調でも悪いのかな。
「魔姫ちゃん、」
私の言葉を遮るように魔姫ちゃんが口を開いた。
「名字、アンタに言ってなかったことがあるの」
「え?なになに?愛の告白?私も魔姫ちゃん愛してるよ」
「違う」
「えっ違うの!?じゃあなに!!まさか彼氏が出来た!?なにそれ!彼氏ぶん殴ろ!」
「だから違うってば」
いつもようにふざけてみてもちょっと思い雰囲気は晴れなかった。不思議に思って何も言わないでいると、魔姫ちゃんが言いにくそうに髪の毛をきゅっと握った。
「その、」
「うん」
だから私もちゃんと聞こうと思って、魔姫ちゃんから話してくれるのをじっと待つことにした。
口を開いて、閉じる。どう言おうかものすごく迷ってるみたい。
「………私の才能、保育士って言ってたでしょ」
「うん。それがどうしたの?」
「あれ嘘なの」
「え!?嘘!?どういうこと!?」
「本当は、暗殺者なの。……超高校の、暗殺者、これが私の才能。」
言い淀んでいた魔姫ちゃんが唇を噛み締めて顔を歪ませていた。
衝撃の事実に空いた口が塞がらず、何も言えなかった。
才能が違うって何?そんなふうに入学もできるの?とか色々考えたけど、すこしずつ状況の整理が追いついてきて出てきた言葉は、
「教えてくれてありがとう」
だった。
言われた魔姫ちゃんは困惑した表情で固まった。まさか私が魔姫ちゃんの友達を辞めるとでも思ったのだろうか。
「……は?」
「だって魔姫ちゃん、私のこと信用して言ってくれたんだよね?」
「それは、そうだけど」
「ならそれでいいよ!魔姫ちゃんは私の友達の魔姫ちゃんだよ。」
まだ自信が無いのか顔が歪んでる魔姫ちゃんにニッコリと笑いかける。魔姫ちゃんのこと大好きだから、大丈夫。
「……アンタってホント予想の斜め上を行くね」
魔姫ちゃんは呆れたように笑った。うんうん、魔姫ちゃんは美人さんだから笑ってた方が可愛いよ!
「まあ出過ぎた杭は打たれませんからね!それに、私がなんでアルバイトばっかりしてるかもちゃんと聞いてくれてたじゃん?それもあって教えてくれたんだよね。ありがと!」
「こっちこそ、………ありがと」
恥ずかしそうにありがとうを言う魔姫ちゃんにいつものようにふざけながら絡むとうざいと言われてしまった。
ようやく本当の意味で魔姫ちゃんと友達になれたから嬉しくっていつも以上にダル絡みしてしまった。
それから逃げるように教室を出た魔姫ちゃんはたまたま近くにいた楓ちゃんを盾にし始めた。
「な、なに?」
「名字がうざい」
イマイチ状況が読み込めてない楓ちゃんに
「仲良しサンドイッチでもつくるか……!」
と言えばニッコリと笑って魔姫ちゃんを後ろから引き摺り出して二人で挟んだ。
「ちょっと……!」
「いえーいなかよーし」
「よくわかんないけど仲良しではあるよね!」
へへ、魔姫ちゃんと友達一生辞めないからね!