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いつからか自由時間は、あの人を探してしまうようになった。
身長が高くて、爽やかな顔つきなわりには胸板が厚くて、アンテナのついた髪型で、いつもすごく優しくて、人のことを考えて行動出来る温かいあの人を、いつも探してしまう。
でも残念なことに、今日は採集場所が別だったので一度も会えてない。朝食の時間も、私が寝坊して会えなかった。本当に一目もあってないのだ。
キョロキョロと周りを見れば前方に探し求めていた人が。
後ろから飛びついても、きっと受け止められるはず。私と彼はなかなか身長差があるし、これまでだって私が飛びついても支えてくれたから。
そうと決まれば!
「ひーなーたーくんっ!」
「おわっ!」
「へへ!驚いたー?」
日向くんの背中に飛びついて見ればいつものように驚いてくれる。本当、驚かしがいがあるってもんよ!
「っと、名字か、危ないからやめてくれよ」
日向くんは即座に振り返って私を確認すると呆れたように笑った。
その顔も好き!
「えー?日向くんガッシリしてるから私が飛びついても大丈夫でしょー?」
「そういう問題じゃないぞ……」
「じゃあ今度からは断ってから飛びつくね!」
「そういう問題じゃないぞ!?」
「わー、その言葉二回目だねー。」
呆れているのに笑ってくれる日向くんは、優しく私の頭を撫でた。
子供扱いされているように感じて、西園寺ちゃんは嫌だって言ってたけど、私は結構好きだった。だからこそ、日向くんを毎回毎回探してしまうのかも知れない。
「えへへ」
「なんだよ」
「日向くんに撫でられるの、好きだなって」
「ばっ……!」
「ん?」
私が上目遣いに見上げれば(身長差からそうなってしまうだけで他意はない。)日向くんは顔を赤く染めていた。
最近こういうの多いから、もしかしたら体調が悪いのかもしれない、と思って日向くんの顔に手を伸ばす。
ほっぺを触って確認しても、ちょっとあたたかいだけで、熱はなかった。
「日向くん、熱はないけど顔赤いよ」
「~~~だれのせいだと思ってんだよ!」
「えっと……?今日の採集大変だったのかな……?」
ちょっとだけ声を荒らげて怒り出した日向くんに私が思ったことを言えば、さらに顔を歪ませた。え。なんで怒ってるの?
困惑気味に日向くんの頬に置いていた手を自分側に引き戻すと、その手を日向くんに掴まれた。
そして、そのまま私の体が日向くんの腕の中に巻き込まれる。
「えっ?」
「俺は、名字の兄貴じゃない…」
ぼそり、とつぶやかれた言葉を拾って、日向くんの名前を呼び、見上げれば、なんだか見たことのない表情をしていた。
「すきだ」
「……え?」
そのままおでこにキスを落とされて私の時が止まった。
日向くんが、私を好き?そんな、まさか。だってそんな気配感じなかったし。なんていろいろ考えてごちゃごちゃしてきた。
けれど、私のおでこに口づけられた日向くんの唇の柔らかさとか、体温とか、そういうのはしっかり覚えてて、嘘でも何でもないと気付く。
途端に顔が熱くなる。きっと今は耳まで真っ赤になっていることだろう。
そんな私を抱きしめた日向くんはくつくつと楽しそうに笑っている。
「……なあ、その顔って、期待してもいいのか?」
「ひっ!耳元で喋らないでよ……!」
日向くんの声が私の鼓膜を揺らして、しかも、耳に息が当たるからゾワゾワして身をよじる。
「返事、くれないのか?」
「あ、その……」
「好きだ、名字」
「あわわわ……」
そのまま逃げようともがきながら返事が出来ずにいると日向くんは日頃のちょっかいの仕返しのごとく、「好きだ」とか「俺と付き合って欲しい」とか「毎日頭を撫でたい」とかなんかこう少女漫画的シチュエーションにしてくる(驚きに語彙力が消えていく)。
なんだか自分の心臓の音がやけにうるさくて、その合間に聞こえる日向くんの声も甘くて優しいしなんだかもう私の思考回路はショート寸前で、ていうかもうショートしてて、気がついたら日向くんの腕の中でただただ頷いて、日向くんの胸板に擦り寄った。
日向くんも私と同じようにドクドク言わせてる心臓の音を聞いて、ようやく言葉が出てきた。
「わたしも、すき、かも」
その言葉でさらに強くなる腕の力に、きゅんと胸から音がした。
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