いつか奪ったるから覚悟しときや
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このシリーズは、先輩の彼女に恋をする後輩の物語になります。
彼らの恋は報われず、ハッピーエンドにはなりません。
それをご了承いただけない方の閲覧はお控えください。
読む!
「あー、おったおった、さくら先輩」
部活が終わってオレンジ色に染まる校門前。
俺は、並んで歩いてたさくら先輩と謙也さんの間に割り込んだ。
繋がれてた手が離れるのを見て、ちょっとだけ優越感。
「おい財前!割り込んでくんなや!」
謙也さんがなんか言うてるけど、俺は無視してさくら先輩に話しかける。
「さくら先輩、今帰り?」
『帰りっちゅうか、これから謙也とカフェ行くんよ』
照れたような、ちょっと恥ずかしそうな笑顔が可愛い。
俺はすかさず食いつく。
「ほんなら俺も」
「アホ抜かせ!デートに後輩連れてく奴があるか!」
「俺かて部活終わりにコーヒー飲みたいっすもん」
「帰って勝手に飲んどけや!」
「謙也さんこそ、家で青汁飲んどったらええやないすか」
「なんでやねん!」
俺らのやかましいやり取りに、さくら先輩が吹きだした。
『ほんま、アンタら仲ええな……ほんなら財前も来る?』
「ほら、さくら先輩の許可おりたっすわ」
「なんでやさくら!」
ちゃっかり隣をキープして、反対側の謙也さんと言い合うフリをしながら、こっそりさくら先輩の横顔を見る。
楽しそうなその笑顔は、俺には向かない。
カフェに着くと、案内されたのは4人掛けのテーブル席。
さくら先輩の隣に、当たり前のように座る謙也さん。
『うち、このドーナツめっちゃ好き~』
「食べ過ぎたら太るで」
『うっさいわ!謙也の意地悪!』
テーブルを挟んで繰り広げられる、甘い甘いやり取り。
見たくないはずなのに。
さくら先輩の声に、仕草に、そして笑顔に引き込まれる。
俺は、半ば冷めかけたコーヒーを喉に流し込んだ。
……コーヒーって、こんな苦かったんやな。
そんなら抹茶ラテにしとけばよかったわ。
自嘲のようなため息は、コーヒーの香りがした。
カフェを出る頃、空はもう夜の色だった。
『今日は楽しかった、ありがとね、財前』
さくら先輩が、いつもの笑顔で小さく手を振る。
「ほなまた明日、学校で」
「財前も気ぃ付けて帰りや」
謙也さんがそう言って、さくら先輩と並んで歩き出す。
どちらからともなく自然に繋がれた手を見て、胸がぎゅっと潰れそうになる。
遠ざかっていく2人の背中を見送りながら、俺は小さく呟いた。
その声は夜風に乗って、誰に届くこともなく消えていった。
いつか奪ったるから覚悟しときや
そん時は、もっともっと笑わしたるから。
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